秋の始まりのフルーツはぶどうですね。ぶどうはどこかロマンティックな物語が始まりそうな幸せの味ですね。
ぶどうの名前の由来
中国が漢の時代に西方から持ち帰ったぶどうを古代ペルシャ語の「ブーダウ」と呼んでいました。その名前が日本に入り「ブドウ」となったようです。
ぶどうの歴史背景
ぶどうは古代から人類に食べられてきた果物のひとつです。ぶどうの原産は、ヨーロッパ種は中央アジアからアジア西部、アメリカ種はアメリカ中央部です。
ヨーロッパブドウの栽培は、紀元前3000年以上前から原産地であるコーカサス地方やカスピ海沿岸で栽培されていました。古代ギリシアやエジプト、ペルシャでも盛んに食べられていて、神話や聖書にも多く登場します。
ワイン造りもかなり早くから始まっており、メソポタミア文明や古代エジプトでもうすでに珍重されていました。その後ローマ帝国の領土が広がるにつれて、ワインの文化とぶどうの栽培が各地に広まっていきました。大航海時代には他の大陸にも広がっていき、世界中へ広がったのです。
日本へは8世紀頃に伝わったとされていますが、気候が合わず栽培が難しかったようです。甲州では中国から入ってきたぶどうが自生化していて、鎌倉時代に栽培が始まりました。特産品として少しずつ広がり、江戸時代には甲府盆地の勝沼町で栽培が本格的に広がりました。明治時代に入ってから欧米からの品種が入り、その後日本の気候に合うように改良されてきました。
ぶどうの流通
ぶどうは果物の中では5番目に多い生産量です。山梨県が最大の産地で、長野県、山形県、岡山県、福岡県と続きます。品種的には日本で一番生産量が多いのは、巨峰です。次いでデラウェア、ピオーネとなっています。
ぶどうの種類によっても出回り期が違います。早いものは6月頃からデラウェアなどが出始め、夏から初秋に巨峰やピオーネ、マスカット、晩秋に甲斐路、ベリーAなどが市場に出回ります。
ぶどうの種類
甲州 :日本最古の品種です。現在でも甲府で栽培されており、生食のほか、白ワインの原料に使われています。
巨峰 (種なしも含む) : 1945年に大井上康氏によって作られた品種です。大粒で味が濃く、一番生産量の多い品種です。
ピオーネ :1973年に井川秀雄氏によって開発された品種で、大粒で味が良いです。イタリア語の開発者というところから名前がつけられました。
デラウェア: 戦前からの主要品種で日本で種無し処理が始まった品種です。
マスカット ベリーA : 生食用、ワイン用でもある黒ぶどう品種です。新潟県が原産地の日本固有種です。赤ワイン用のぶどうとしては一番多く使われています。
マスカットオブアレキサンドリア : 緑の皮のぶどうで古くからある品種で、世界各国で作られています。生食用のほかレーズンの原料としても使われています。
シャインマスカット :緑の皮のぶどうで「緑の宝石」ともいわれ、最近人気の種なしで皮ごと食べられる品種です。贈答用としても名高く高級品です。
この他にも、甲斐路、藤稔、ナガノパープル、ナイアガラ、レットグローブなど沢山の種類があります。
ぶどうの選び方
粒が1つ1つに張りがあり、粒が揃い、房にしっかりと密着してツルが緑色のものが良いです。ツルが茶色のものは収穫してから時間が経っています。房の先端にある粒が甘ければ全体的に甘いです。また白い粉がついているものは甘いです。
房を持った時に実が落ちるものは熟しすぎています。
ぶどうの保存方法
風通しの良い涼しい場所へ置きましょう。袋に入っている場合は袋から出しましょう。あまり日持ちがしないので早めに食べましょう。
食べる半日前に冷蔵庫に入れましょう。ずっと冷蔵庫に入れると甘みが少なくなります。
食べきれないものは冷凍するのも一つの手です。
ぶどうの加工品
レーズン、ジャム、ワイン、ぶどうジュースなど
ぶどうの栄養価
ぶどうは、糖質のブドウ糖と果糖が含まれていて、ビタミンなどはほとんど含まれていません。品種によって有機酸を含んでいるものは酒石酸とリンゴ酸が含まれています。あとは、赤ワインで有名になったポリフェノールが赤いぶどうには含まれています。皮の渋みはタンニンです。
東洋医学(薬膳)からみたぶどう
寒熱 :「平」
潤燥 :「潤」
東洋医学的効能
「止渇除煩」喉の渇きを緩和し、イライラを解消します。
「益気養血」気と血を補う
「滋補肝腎」肝と腎を潤し養う
「利尿」利尿作用がある
「安胎」胎児を安定させる
体質相性
「陰虚」の人はぶどうの潤いが虚熱を収めるので良いです。
「肝陽亢盛」の人は「干しぶどう」は糖分が多く、体が熱を持ちやすくなるので控えましょう。
その他の人は、適量であれば問題ありません。
ぶどうの美味しいレシピ
巨峰の赤ワインコンポート
種なし巨峰20粒、赤ワイン100cc、砂糖大さじ2、水
①巨峰は皮をむく。
②鍋に赤ワイン、水、砂糖を入れて煮立たせる。
③②の鍋に①の巨峰を入れて、煮汁が少なくなり、しんなりするまで煮る。
④そのまま食べても美味しく、ヨーグルトやアイスクリームなどに混ぜても美味しいです。
イメージ
<参考>
ウィキペディア ぶどう https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%89%E3%82%A6
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