亜鉛は美味しくご飯を楽しむことや、若々しく元気でいることをサポートをしてくれる大切なミネラルです。
亜鉛とは
亜鉛は原子番号30の元素です。体外では、金属のメッキなどにも使われています。
亜鉛は体内では色々な役目があり、いつも元気にコンディション良くに生活するために、とても重要なミネラルです。しかし不足しがちなミネラルでもあります。
人間の体内に2~4g存在しています。その95%以上は細胞内に含まれていて、残りの5%に血液や毛髪、爪などに含まれています。
また亜鉛は酵素に含まれていて、代謝や核酸の合成に役立っています。それに酸化ストレスを抑制する若返り酵素「スーパーオキシドヂスムターゼ」などにも含まれています。そのため、老化防止や生活習慣病の予防にも、役立つと言われています。
亜鉛の働き
1)酵素の原料になる
体の中で行われる代謝に使われる酵素の成分です。その数およそ200種類の細胞の新陳代謝に関わる酵素の原料であり、正常な新陳代謝を保つために欠かせません。
免疫強化やアンチエイジングの酵素の原料でもあります。
2)細胞をつくる
亜鉛は細胞のDNAを作る時に必要な成分です。そのDNAをもとに新しい細胞が作られています。そのため、細胞の再生が盛んな場所に、亜鉛は特に多く存在しています。口の中の細胞や舌、肌、胃腸、髪の毛などです。あと精子の形成にも必要です。
3)味覚を正常に保つ
舌の細胞の入れ替わりは、短い期間で行われます。味を感じる味蕾という部分の細胞も同じです。亜鉛が足りないと味蕾が作られる期間が長くなります。そうすると味を感じにくくなるのです。
4)ホルモンを正常に保つ
亜鉛は、ホルモンの合成にも関連しています。特に血糖値のコントロールに関係するインスリンというホルモンの合成や、女性ホルモンの活発化にも関連します。
亜鉛の必要量
推奨量として、成人男性11㎎/日 成人女性8㎎/日 (詳細は下記の表をご覧ください)
mg/日
男性 | 女性 | |||||||
平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 上限量 | 平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 上限量 | |
0~5ヶ月 | 2 | 2 | ||||||
6~11ヶ月 | 3 | 3 | ||||||
1~2歳 | 3 | 3 | 3 | 3 | ||||
3~5歳 | 3 | 4 | 3 | 3 | ||||
6~7歳 | 4 | 5 | 3 | 4 | ||||
8~9歳 | 5 | 6 | 4 | 5 | ||||
10~11歳 | 6 | 7 | 5 | 6 | ||||
12~14歳 | 9 | 10 | 7 | 8 | ||||
15~17歳 | 10 | 12 | 7 | 8 | ||||
18~29歳 | 9 | 11 | 40 | 7 | 8 | 35 | ||
30~49歳 | 9 | 11 | 45 | 7 | 8 | 35 | ||
50~64歳 | 9 | 11 | 45 | 7 | 8 | 35 | ||
65~74歳 | 9 | 11 | 40 | 7 | 8 | 35 | ||
75歳以上 | 9 | 10 | 40 | 6 | 8 | 30 | ||
妊婦 | +1 | +2 | ||||||
授乳婦 | +3 | +4 |
日本人の食事摂取基準2020より抜粋
亜鉛の過剰症
亜鉛は不足しがちなミネラルなので、過剰症になることは少ないのですが、サプリメントで一度に多量にとった場合は、神経症や腎障害などが起きる可能性があります。
亜鉛の欠乏症
亜鉛が不足すると、様々な代謝に影響を及ぼします。細胞の新陳代謝が遅れるため、味を感じにくくなったり、皮膚炎、脱毛、胃腸の障害、貧血、精神障害、傷の治りが遅いことなどが症状として現れてきます。また男性の場合は精子の数が減ったり、女性で妊娠中に不足すると胎児の成長に影響を及ぼします。
※亜鉛とストレス
強いストレスがある時に、ストレスたんぱくの「メタロチオネイン」という物質が肝臓や腎臓で合成されます。このメタロチオネインは、亜鉛と強く結合する性質があります。そのため、ストレスが高まると亜鉛の消費が高まるので、不足しがちになります。
亜鉛の吸収に関して
亜鉛は小腸で吸収されます。その後タンパク質(アルブミン)と一緒に肝臓に運ばれて、全身の細胞に運ばれます。一緒にとる食品によって、吸収率が変わってきます。平均でおおよそ10~30%程度といわれる吸収率ですが、銅やカルシウム、食物繊維、フィチン酸、シュウ酸、カドミウム、食品添加物のリン酸塩やEPTAなどが、吸収の邪魔をします。逆にタンパク質を含む食品やビタミンCを多く含む食品は、亜鉛の吸収を促進します。それらを一緒にとった方が良いのです。またビタミンAと一緒だと働きが良くなります。
また、長期に渡ってアルコールを常時多飲している人は、亜鉛の吸収が阻害され、体外への排出量が多くなり、不足しがちになります。
亜鉛と薬の関係
アミロライド、糖尿病治療薬、アサザナビル、セファキシン(抗生物質)、シスプラチン(抗がん剤)、インテグラーゼ阻害剤、ペニシラミン(リウマチ治療薬)、キノロン系抗生物質、リトナビル(抗ウイルス薬)、テトラサイクリック系抗生物質などの医薬品は、亜鉛との相互作用があります。
亜鉛の多く含まれる食品
牡蠣、うなぎ、牛肉、レバーなど
亜鉛を効果的にとるレシピ
亜鉛含有量の多い牡蠣は、タンパク質も多く含みます。亜鉛の吸収を高めるために、ビタミンC含有量の多い食品(パプリカ等)を組み合わせると効果的です。
<牡蠣のレモンマリネ>
材料 2人分
牡蠣10個、酒大さじ2、パプリカ赤1/2個、パプリカ黄1/2個、レモン1/2個、ワインビネガー 大さじ1、はちみつ小さじ1、オリーブオイル大さじ1
①牡蠣はさっと洗い、水気を切って耐熱の皿に入れて酒をふる。温めておいた蒸し器から蒸気が出たら皿を入れて、、火が通ったら出して冷ましておく。
②野菜は洗った後水気を切り、パプリカはせん切りにする。レモンは絞っておく。
③ワインビネガー、はちみつ、オリーブオイル、レモン汁を混ぜ合わせてマリネ液をつくる。
④マリネ液の中に牡蠣と野菜を入れて、30分以上味を馴染ませて、皿に盛り付ける。
イメージ
<参考>
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#search=’%E6%A0%84%E9%A4%8A%E5%9F%BA%E6%BA%96′
国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail36.html
臨床栄養ディクショナリー 山本みどり 佐々木公子 大池教子 メディカ出版
栄養素図鑑 牧野直子 新星出版社