ビタミンK

ビタミンKはあまり名前が知られていないかもしれません。
しかし体内では、様々な働きをしています。骨が強く丈夫でいられるようにしたり、怪我などをして出血した時に血液を固めたり、体の健康を保つ上でなくてはならないビタミンです。

 

ビタミンKとは

ビタミンKは油に溶ける脂溶性のビタミンです。大きく分けて2種類あり、ビタミンK1のフィロキノンとビタミンK2のメノキノンがあります。ビタミンKは、濃い緑色のものに含まれています。ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜や海藻など緑色の濃い食品に含まれています。そのほかに発酵食品の納豆にも含まれています。

またヒトの体内でも腸内細菌によって作られます。そのため、あまり不足することはなく、欠乏症を心配しなくても良いビタミンです。


 

ビタミンKの働き

・血液の凝固や止血に働く

ビタミンKは出血した時に血を固めて止血する役割があります。ビタミンKは凝固の最初の過程に必要なプロトロンビンという物質を肝臓で作るために使われます。

 

・骨を健康に保つ

ビタミンKは、骨にカルシウムを取り込む際に必要な「オステカカルシン」というタンパク質を活性化させます。オステカカルシンは、骨の石灰化や骨にカルシウムを貯蓄するために必要です。ビタミンKは骨からカルシウムが溶出してくるのを防ぐ働きもしているので、不足すると骨粗鬆症になりやすくなります。                 

 

ビタミンKの必要量

       (μg/日)

性別男性女性

年齢

目安量

目安量

0~6ヶ月

4

4

7~11ヶ月

77
1~2歳60

60

3~5歳

7070

6~7歳

85

85

8~9歳100

100

10~11歳

120120
12~14歳150

150

15~17歳

160160
18~75歳以上150

150

妊婦

150
授乳婦

150

 日本人の食事摂取基準2020より抜粋

 

ビタミンKの過剰症

食品から多く摂りすぎることは、ほぼありません。

ただサプリメントをとっている方は、摂りすぎることがあるので注意が必要です。

症状は貧血や血圧低下、嘔吐、呼吸困難が起こることがあります。

また、いくつかの薬はビタミンKと一緒になることで効果が弱まることがあるので、摂取を控えるよう医師から指示されることがあります。 例)納豆など

 

ビタミンKの欠乏症

ビタミンKは体内で合成することができるため、ほぼ欠乏することはありません。

新生児は腸の環境が整っていないため、ビタミンKの合成が難しく経口投与が行われます。

また脂溶性ビタミンのため、胆汁があまり出なくて油の吸収が悪い場合や、抗生物質の長期投与などで腸内細菌の環境が悪い場合は、不足する可能性があります。

不足すると骨が弱くなったり、血が止まりにくくなる症状がでます。

 

ビタミンKを効果的に摂るために

脂溶性のビタミンなので、油を含むものと一緒に摂るのがお勧めです。またビタミンKを運んでくれるタンパク質も一緒に摂ると、さらに効果的です。

また、ビタミンKは腸内で合成されるので、腸内環境を整えることも大切です。

 

ビタミンKと薬の相互作用

ワーファリンを服薬している人はなぜ納豆を食べることを制限されるのか?

ワーファリンは血栓が出来て心筋梗塞や脳梗塞になったことがある人、または、この先なる可能性の高い人が服薬する抗凝固薬です。血を固まりにくくし血栓が出来るのを抑える薬です。

ワーファリン服用中は、薬の作用で血が固まる働きを抑えています。そこに止血に働くビタミンKを多く含む食品を食べると、効果が薄れてしまうのです。その作用が一番強いのが納豆です。他のビタミンKを多く含む野菜や海藻に関しても、医師の指示に従った範囲での摂取にとどめましょう。納豆に関しては、腸内でもさらにビタミンKを作り続けるので、注意が必要なのです。

 

ビタミンKを多く含む食品

納豆、小松菜、モロヘイヤ、ほうれん草、ひじき、緑茶など

   

 

ビタミンKを効果的にとるレシピ

簡単バクダン丼

<材料> 2人分

納豆2パック、めかぶ1パック(30g程度)、冷凍とろろ40g程度、キムチ20g、焼き海苔 少々、オリーブオイル大さじ1、麺つゆ大さじ1、ご飯2膳分

①炊きあがったご飯を丼に盛り付ける

オリーブオイルを納豆に入れてよく混ぜ合わせ、ご飯の上に乗せる。

③納豆の横にめかぶ、とろろ、キムチも乗せて、麺つゆを同量の水で割ったタレを全体的にかける。

④最後に焼き海苔を細かくしたものを乗せて、できあがり!

 

 

 

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<参考>

 

厚生労働省  日本人の食事摂取基準2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

栄養素図鑑  牧野直子   新星出版社

食べて治す 最新栄養事典 中島洋子  蒲原聖可  主婦の友社