FODMAPとは
FODMAPは、過敏性腸症候群(IBS)の人のための食事の概念です。近年、腸の健康は全身の健康や免疫とも深い関りがあることがわかってきていますが、腸の問題を抱えている人も多いのです。
過敏性腸症候群の症状は、お腹の張り、ガス、下痢、便秘、腹痛などの症状があります。日本では病院にいかずに診断されていない人も含め、10人に1人はいるのではないかと考えられています。
過敏性腸症候群は、少し前まではストレスが原因で腸の調子が悪くなる状態と思われていました。しかし、いくつかの食品が関係しているのではないかということがわかってきました。
この腸を過敏にする原因の食品の頭文字を取って、「FODMAP」という名前がついています。
これらの腸を過敏にする原因の可能性のある食品を一時的に外して、原因を探る方法です。原因となりえる可能性が高いのが高FODMAP食品で、低FODMAP食品がその可能性の低い食品です。
オーストラリアのMonash大学の研究では、健康な人と過敏性腸症候群の人たちに高FODMAPの食事を避けて、低FODMAPの食事をしてもらう実験をしたところ、その症状が改善されたという報告がありました。
FODMAPの食品
F:Fermentable(発酵性)
腸内で発酵しやすい食品
O:Oligosaccharises(オリゴ糖)
玉ねぎ、アスパラガス、大豆など
D:Disaccharides(二糖類)
乳糖を含むもの(牛乳・乳製品)
M:Monosaccharides(単糖類)
果糖の多いフルーツやジュース、はちみつなど
And (それと)
P:Polyols(多価アルコール)
マルトース、キシリトール、ソルビトールなど
食品の分類
高FODMAP ✖ | 低FODMAP 〇 | |
穀類 | 小麦製品(パン、パスタ、シリアル)、マフィン」、ドーナツ、グラノーラなど | 玄米、白米、もち、オートミール、十割そば、ビーフン、コーンスターチ、ポップコーン |
豆類 | 大豆、黒豆、豆乳 | ひよこ豆 |
野菜・芋類 | 玉ねぎ、マッシュルーム、ニンニク、ごぼう、さつま芋、カリフラワー、アスパラガス、ねぎ、にら | 人参、なす、ピーマン、トマト、かぼちゃ、もやし、なす、ブロッコリー、キャベツ、ピーマン、きゅうり |
果物 | りんご、アボカド、桃、レーズン、すいか | バナナ、ブドウ、オレンジ、いちご、キウィフルーツ、レモン |
肉類・魚類 | ソーセージ、ハム | 牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉 魚介類 |
乳類 | 牛乳、ヨーグルト、生クリーム、カスタードクリーム、クリームチーズ、アイスクリーム | ココナッツミルク、チェダーチーズ、カマンベール、モッツァレラチーズ、パルメザンチーズ、バター |
発酵食品 | キムチ、野菜の漬物、納豆 | 醤油、米酢、味噌、オイスターソース |
その他 | カシューナッツ、ピスタチオ、はちみつ、トマトケチャップ | ピーナッツ、アーモンド、ごま、メープルシロップ、マヨネーズ、オリーブオイル、ごま油、菜種油、わかめ、のり |
FODMAPの進め方
腸の状況を受診して確認し、医師に内容を相談して、アドバイスに基づいて行いましょう。
3段階に分けて進められます。
1)FODMAP制限期間(2~4週間)
高FODMAPに含まれる食品を全て取り除きます。食事日記をつけて、体の様子(特に腸や便についても)をともに記録します。
高FODMAPの食品を取り除いても腸の様子に何の変化もない場合には、違う原因も考えられます。(ストレスなどの心理的要因、環境の要因、アレルギーなどの要因など)その場合は、早めに主治医の先生に相談しましょう。
この第一段階を必要以上に長く続けていると、腸内細菌叢(腸内フローラ)にも影響します。
2)再導入期間(原因食品特定)(6~8週間程度)
第一段階の制限期間で、腸の様子に良い変化がみられた場合、何の食品が過敏性腸症候群を引き起こす原因だったのかを探っていきます。低FODMAP食を続けながら、第一段階で外した食品を1品ずつ少量を試していきます。少量から徐々に量を増やしていき、体の変化を確認して食事日記につけます。
戻しても問題なかった食品は原因ではないので戻し、体の変化があった食品はどのくらいの量だったのかも確認し、導入を見合わせます。
3)維持期間
第二段階の再導入期間で問題があった食品は、そのまま取り除きます。問題がなかった食品は食事に入れて、バランスをとれた食事作りをしていきましょう。
まだ日本ではそれほど広がっていないFODMAP食ですが、過敏性腸症候群で悩んでいる方は主治医の先生に相談してみましょう。
<参考>
Monash University https://www.monashfodmap.com/about-fodmap-and-ibs/
ウィキペディア FODMAP https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97
GCare https://gcareglobal.com/2020/06/15/ibs-lowfodmapdiet/