尿路結石に一度なった方はわかると思いますが、ものすごく激痛ですよね。
あの痛い思いを繰り返さないために、食習慣を見直してみませんか?
(治療中、通院している方は、必ず主治医のアドバイスに従ってください。)
尿路結石とは
尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に結石が生じて、尿の停滞、細菌感染が起こり激痛を伴う病気です。尿中のカルシウム、シュウ酸、尿酸、リン酸などの物質が、様々な条件が合うと結晶化し、有機物も巻き込んで結晶になります。結晶化は尿中結石成分が飽和状態になると起こりやすくなります。
結石形成の原因のひとつに、欧米化した食習慣があるのではないかと言われています。
一度なってしまうと、その後も繰り返すことが多く、5年以内に約半数近く再度結石が再発しているというデータがあります。一度治っても元の食習慣に戻ると再発しやすいのです。根本的に食事を見直す必要があります。
治療
結石が出来てしまった場合は、服薬治療などと共に食事の改善が必要です。
尿路結石になりやすい人のための食事療法
①水分は積極的に摂りましょう
水分が不足すると、結石の原因となるシュウ酸、尿酸、リン酸などが溜まりやすくなります。喉が渇いていなくても、定期的に時間を決めて飲みましょう。一日に2リットル以上はとるようにしましょう。
・水分はなるべく味のついていない水にしましょう。
・寝る前にはコップ2杯の水を飲みましょう。
・リンを含む飲み物(コーラやスポーツドリンクなど)は避けましょう。
・アルコールは水分としてはカウントできません。脱水を起こしやすく、尿酸も増やすので極力減らしましょう。
②塩分は控えましょう
塩分の摂りすぎは、カルシウムの排出量を増やし、結石をつくりやすくします。1日6グラム程度までにしましょう。
特に塩分を多く含む食品
漬物、佃煮、塩蔵の魚や肉類、汁物の多い麺類、魚の練り物、ハムやソーセージ、加工品など
③加工品はなるべく減らしましょう
加工品は加工する時点で塩を添加するものが多いのと、添加物にリンが使われていることが多いです。リンも結石をつくる原因になります。
カップラーメン、ハム、ベーコン、魚の練り物、コーラなどのジュース類など
④シュウ酸を含む食品は避けましょう
シュウ酸は、野菜の渋みのアクの成分です。
・シュウ酸を多く含む食品は、ほうれん草、ブロッコリー、タケノコ、なす、さつま芋、チョコレート、ナッツ類(ピーナッツ、アーモンドなど)、緑茶(抹茶、玉露など)、ココア、コーヒー、紅茶など
・ほうれん草などの葉物の野菜類は茹でることで、シュウ酸を減らすことができます。またカルシウムを一緒に含む食品と一緒にとると、シュウ酸の吸収を抑えることができます。ほうれん草のお浸しにじゃこなどの小魚を入れたり、紅茶にミルクなど入れるのも良いでしょう。
・ビタミンCはシュウ酸の生成を促進します。サプリメントなどのビタミンC剤やジュースで添加されているものなど、過剰摂取にならないようにしましょう。
⑤砂糖を多く摂りすぎないようにしましょう
砂糖の摂りすぎは、カルシウムの尿への排出が増加し、結石を作りやすくします。ジュースや菓子類は極力減らしましょう。
⑥タンパク質は摂りすぎないようにしましょう
タンパク質の摂りすぎは、カルシウムの尿中への排出を増やします。また、尿酸を増やしますので、タンパク質は必要以上にはとらないようにしましょう。特に動物性のタンパク質の摂りすぎはリスクが上がりますので、植物性の大豆製品などと半々程度の割合にしましょう。
⑦プリン体を含む食品 は控えましょう
プリン体を多く含む食品は尿酸を増やし、結石ができやすくなります。なるべく減らしましょう。
プリン体を多く含む食品:いわし、肉の内臓(レバーなど)、白子、魚の干物、出汁、ビールなど
⑧油分、肉の脂は摂りすぎないようにしましょう
脂質の代謝が多くなると腸の中でカルシウムと結合し、シュウ酸が体外に出にくくなります。結石形成のリスクが上がります。
⑨カルシウムを含む食品を摂りましょう
以前はカルシウムは少なくした方が良いと考えられていました。しかし、シュウ酸はカルシウムと結合して体外に出されます。そのため、カルシウムが足りないとシュウ酸が外に出にくくなります。かといって、あまりにも摂りすぎると、結石をつくるもとになるので注意が必要です。一日600㎎~800㎎が再発予防範囲です。
カルシウムを含む食品:大豆製品、乳製品、小魚類など(タンパク質やプリン体の量を考慮しながら摂りましょう。)
⑩マグネシウムを含む食品を摂りましょう
マグネシウムは、尿のシュウ酸を減らす働きがあります。
マグネシウムを多く含む食品
豆腐、ひじき、玄米、ごま、バナナ、マグロなど
⑪クエン酸を含む食品を摂りましょう
クエン酸は尿のカルシウムを減らす働きがあります。
クエン酸を含む食品:レモン、オレンジなど柑橘系の果物、酢など
⑫夜に食べ過ぎないようにしましょう。それに夜食はやめましょう
食事後2~4時間は、尿中の結石をつくる成分(シュウ酸、カルシウム、尿酸など)が尿中に増えます。夜間就寝中に結石が作られることが多いのです。食事は就寝4時間前までに食べましょう。特にタンパク質が多すぎるおかずや塩分、糖分が多いと尿中の成分も増えますので、夕食はなるべく軽めにしましょう。(朝や昼にメインの食事にしましょう。)
⑬アルコールは極力減らし、適量範囲にとどめましょう
アルコールは尿を酸性に傾けやすく、尿酸も上げやすいのでなるべく減らしましょう。飲むのであれば、尿を酸性にしにくいワインを適量範囲にしましょう。
⑭シュウ酸の少ない野菜や海藻は、しっかり摂るようにしましょう
野菜はシュウ酸の多いものは、摂りすぎない方が良いですが、他の野菜や海藻類は尿をアルカリ性に傾けやすくなります。なるべくしっかり摂りましょう。例えば、大根、かぶ、人参、もやし、ひじき、わかめなど
食習慣を見直して、結石をつくる原因を減らして、再発を防ぎましょう。
<参考>
臨床栄養ディクショナリー 山本みどり 佐々木公子 大池教子 メディカ出版
新臨床栄養学 栄養ケアマネジメント 本田佳子 医歯薬出版