ビオチンは肌や髪の毛を健康に美しく保つために、とても大切なビタミンです。
ビオチンとは
ビオチンはビタミンB群の1種でビタミンHやビタミンB7とも呼ばれています。水溶性のビタミンで水に溶けやすい性質があります。熱や光、酸に対しては比較的強く、アルカリ性には弱い性質があります。
外から食事を通してとるほか、体の中でも腸内細菌が合成しています。
体の中ではエネルギー代謝、美しい肌や髪の毛を保つ上で重要な役割を果たすなど、色々と役立っています。
ビオチンの働き
・エネルギー代謝
ビオチンは、体の中に入った糖質・脂質・タンパク質をエネルギーに変える時に、必要な補酵素として働いています。
・糖質の代謝
糖の代謝では、ピルビン酸カルボキシラーゼの補酵素となります。糖新生や脂肪酸合成に関わって、糖の代謝をしています。
・肌や髪を健康に保つ
健康な肌や髪の毛を保つには、ビオチンが欠かせません。それらを健康に保つためには、酵素のカルボキシラーゼが必要で、その働きをビオチンが助けているのです。ビオチンが不足すると、この酵素が正常に働けずに皮膚や粘膜、髪の毛がつくれません。肌荒れや脱毛、白髪などが起きる可能性があります。それに頭皮の血行を促進したり、コラーゲンを作ることを助けています。
・アレルギーの予防
ビオチンは、アレルギーの原因になるヒスタミンの原料のヒスチジンを、外に排出することを促すので、アレルギーの予防になります。アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を、緩和することが期待されています。
ビオチンの必要量
(μg/日)
男性 | 女性 | |
目安量 | 目安量 | |
0~5ヶ月 | 4 | 4 |
6~11ヶ月 | 5 | 5 |
1~2歳 | 20 | 20 |
3~5歳 | 20 | 20 |
6~7歳 | 30 | 30 |
8~9歳 | 30 | 30 |
10~11歳 | 40 | 40 |
12~14歳 | 50 | 50 |
15~17歳 | 50 | 50 |
18~29歳 | 50 | 50 |
30~49歳 | 50 | 50 |
50~74歳 | 50 | 50 |
75歳以上 | 50 | 50 |
妊婦 | 50 | |
授乳婦 | 50 |
日本人の食事摂取基準2020より抜粋
ビオチンの過剰症
ビオチンは水溶性のビタミンのため、尿で外に排出されるので、過剰症の心配はほぼありません。
ビオチンの欠乏症
ビオチンは体の中の腸内細菌も合成しているので、あまり欠乏症の心配はありません。
ただ、偏った食生活や喫煙、飲酒量が多い、抗生物質の長期服薬などにより不足する可能性があります。欠乏症の症状として、湿疹、肌荒れ、結膜炎、脱毛、白髪、食欲不振、うつ、疲労感、筋力低下などがあります。
ビオチンが多く含まれる食品
豚レバー、ししゃも、大豆、かれい、マイタケ、カリフラワーなど
ビオチンと薬
抗生物質を長期間飲んでいると、腸内細菌のフローラの環境が悪化し、合成が少なくなります。また、いくつかの鎮静剤は、腸からのビオチンの吸収を邪魔します。
他にもいくつかの抗てんかん薬はビオチンの吸収を阻害します。透析を受けている方やビオチニダーゼ欠損症の患者さんはビオチンの必要量が多くなります。
ビオチンを効果的にとるために
ビオチンは他のビタミンと共同で働くことが多いので、ビオチンB1、ビタミンB2、葉酸、パントテン酸などを一緒に取った方が効果的です。
ビオチンは卵にも含まれますが、卵の卵白に含まれるアビジンという成分が、生のままだとビオチンの吸収を阻害します。加熱してから食べると吸収されやすくなります。
抗生物質や鎮静剤を長期間飲んでいる人は、多く含むものを意識して食べると良いでしょう。
ビオチンを効果的にとるレシピ
<揚げシシャモの南蛮漬け>
材料 2人分
ししゃも8匹、片栗粉、油、玉ねぎ30g、パプリカ赤1/2個 黄色1/2個、砂糖小さじ1、酢大さじ1、醤油大さじ1、あさつき少々
①野菜は良く洗い、玉ねぎ、パプリカはスライスに切っておく。あさつきは小口切りにする
②砂糖、酢、醤油で合わせ調味料をつくっておき、その半量で野菜に味をつけておく。
③シシャモは余分な水分をクッキングペーパーでとり、片栗粉をまぶして油で揚げる。
④③のシシャモに②の調味料と野菜をかけて、最後にあさつきを上に乗せて出来上がり!
お酒のおつまみにもピッタリですよ!
イメージ
<参考>
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#search=’%E6%A0%84%E9%A4%8A%E5%9F%BA%E6%BA%96‘
国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail46.html#1
栄養素図鑑 牧野直子 新星出版社
よくわかる栄養学の基本としくみ 中屋豊 秀和システム