40歳を過ぎたくらいから、今までと同じように食べていても体重が増えるようになったり、疲れやすくなった、健診での血液検査の数値が気になり始めたという方が多いのではないでしょうか?
その頃から、今までと違うステージに体は少しずつ変化してきています。
1)ミドルエイジの身体的変化の特徴
・体の筋肉が減ってくる。
・骨密度が減ってくる。
・基礎代謝が落ちる。
・神経伝達速度が落ちてくる。
・細胞内の水分が減少する。
・ホルモンバランスが変わってくる。
・女性の場合は更年期症状が現れることもある。
この頃から、体の変化に合わせて、食べるものも少し変えた方が良いのです。ミドルエイジは食習慣を見直す良い頃合いです。
2) 健康を保つための12の食事のポイント
①体重が増えないように、食べるもののボリュームを減らしましょう。
体重計に乗る習慣をつけて、体重が増えない食事量をご自身で確認して調整しましょう。
無理なくボリュームを減らす方法は、野菜を多く食べることです。自然と他のものが減りやすくなります。
必要量の目安はBMIが24.9以下の人は体重当たり30kal程度、BMIが25以上の人は体重当たり25kcalをかけた分が一日分のエネルギー量です(簡易式計算)。あくまでも目安なので、体重計で確認しましょう。活動量や体質、体調、体組成によっても必要エネルギー量は変わります。体重計で日々の増減を確認することが、ご自身の食事量を決める上で大切な目安になります。
例)体重60kg(BMI24.0)×30=1800kcal
体重60kg(BMI26.0)×25=1500kcal
BMIの計算方法:BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例)体重60kg÷身長1.58(m)÷身長1.58(m)=BMI24.0
体重60kg÷身長1.52(m)÷身長1.52(m)=BMI26.0
②量より質を重視しましょう。
食べる量のボリュームを減らしても、必要な栄養はきちんと栄養量は摂ることが大切です。
量よりも質に重きを置くことでバランスを取りやすくなります。
一日のうちに口にするものの中に、エンプティカロリーのものはありませんか?
エンプティカロリーとは、甘い菓子やスナック菓子とかジュース、お酒のようにカロリーや糖分は多くてもそれ以外の栄養がないものを指します。エンプティカロリーの食品や加工食品を減らすだけでも、かなり食事の質が上がります。
一日に色々な食品が食べられるように、食事の内容を工夫しましょう。1品料理だとバランスが取りにくいので、色々な食材が入る定食スタイルがお勧めです。
③朝か昼をメインの食事にして、夕食量は減らしましょう。
朝食は食べていますか?朝、起床後2時間以内に食事を食べることで体内時計が整いやすく、一日の代謝も上がりやすくなります。代謝が上がると食べたものがきちんと燃焼されやすく体重増加を予防します。
それに朝はご飯やパンの炭水化物だけではなく、卵や納豆、魚、牛乳などタンパク質も同時に摂った方が体が目覚めやすいと言われています。茹で卵や納豆、牛乳、豆乳などは時間がなくても手軽に摂ることができる食品なので、お勧めです。
そして体内時計の流れに従った食べ方では、代謝の高い時間帯にメインの食事を食べて、代謝が下がる時間帯の夜は食事を減らす方が効率が良いのです。つまり、朝食・昼食をメインにして夕食は軽めにしましょう。
④野菜を増やして、糖質を適量範囲に減らしましょう。
ミドルエイジになると、今までのようにはエネルギー量を摂る必要はありません。ただ今までと変わらずに必要なのが、体のメンテナンスに必要なビタミンやミネラルです。ビタミンやミネラル、ファイトケミカルを多く摂るには、野菜を増やすことが有効です。
ご飯や麺、パンの量は今までよりも少し減らして、野菜をその分増やすと満足感もあり健康維持につながります。野菜は出来るだけ毎食に入れて、野菜から食べることがお勧めです。
⑤タンパク質は必要量とりましょう。
細胞の入れ替わりにタンパク質はある程度必要です。体重当たり1g~1.2gぐらいの量が、普通に生活されている方には適量です。必要以上にとると腎臓に負担がかかります。毎食のメインの食事に、肉、魚、卵、豆腐類のいずれかをご自身の拳1つ分ぐらいの大きさのものを入れるのが目安になるでしょう。
例) 体重60kg タンパク質一日60g程度とした場合
目安
朝食 ご飯、納豆1パック、ゆで卵1個、豆乳100ml、みかん
昼食 ご飯、野菜スープ、鶏の照り焼き(鶏もも肉60g程度)、野菜サラダ
間食 ヨーグルト1パック(100g)
夕食 ご飯、豆腐の味噌汁(豆腐30g)さばの塩焼き60g、大根と小松菜の炒め煮
⑥カルシウムとビタミンDはしっかり摂りましょう。
この頃から特に気をつけたいのが骨の健康です。ホルモンバランスが変わってくると特に女性は骨が弱くなりがちです。カルシウムが多い食品に加えて、ビタミンDが入っている食品を食べたり、日に当たる時間もつくりましょう。また、意識して体を積極的に動かすことも骨の健康につながります。
またご自身の歯でご飯を美味しく食べるためにも、歯の健康はとても大切です。歯のケアも心がけましょう。
⑦塩分過多に気をつけましょう。
塩分が多い食事を日常的に食べていると血圧が上がりやすくなります。また、腎臓にも日常的に負担をかけ続けています。それに塩分を摂り過ぎると、せっかく摂ったカルシウムを減らしてしまうことになります。
日本人の食生活は塩分が多い傾向があり、平成29年の国民栄養調査では平均一日9.9gの食塩を摂取しているという報告があります。
食塩の摂取推奨量は男性で一日7.5g、女性で6.5g未満を目標に減らしましょう。
⑧揚げ物は減らしましょう。
必要な油は摂った方が良いのですが、高温で熱した油は酸化が進み、酸化した油は体を老化させます。揚げ物は極力減らしましょう。
オリーブオイルや加熱しないアマニオイル、エゴマオイルなどをある程度摂ることは、お勧めです。また魚を食べることで魚に含まれる魚油(DHA・EPA)なども摂ることができます。
⑨動物性の油や加工脂は減らしましょう。
コレステロール値が高くなる原因の一つに、動物性の油を摂り過ぎているケースがあります。
動物性の油とは、牛肉、豚肉、鶏肉に含まれる脂、バター、生クリーム、ラードとその加工品(洋菓子、チーズなど)のことを指します。
また、菓子や菓子パン、加工品等に多く含まれているトランス脂肪酸(主にマーガリン、ショートニング、ファットスプレットなどの加工脂に含まれます。)は心臓病のリスクを上げるという研究の報告があります。なるべく減らしましょう。
⑩砂糖の摂り過ぎは気をつけましょう。
砂糖は血糖値を急激に上げやすく、摂り過ぎは膵臓の疲弊につながります。また血糖値が高い状態が続くことで、糖尿病になるリスクが上がるばかりでなく、体の糖化が進み細胞が一気に老けてしまいます。甘い菓子やジュースなどはなるべく減らしましょう。
また果物の摂り過ぎは果糖の摂り過ぎにもつながります。脂肪肝の原因にもなります。量は適量にしましょう。
⑪アルコールの摂り過ぎは気をつけましょう。
若い頃は少し無理して飲酒しても、肝臓が頑張って処理をしています。しかし肝臓に常に負担をかけている状況が続くと無理が効かなくなります。適量を心がけ、必ず休肝日もつくりましょう。ほどほどに楽しむことが体にも負担をかけません。
⑫良く噛んでゆっくりと食べましょう。
よく噛んでゆっくりと食べることは色々と良いことがあります。
まず、よく噛んで味わって食べることは、胃腸の消化を助けると共に食べすぎを防ぎます。血糖値の上がり方も緩やかになります。
また、口周りの筋肉をしっかり使う事で筋肉が鍛えられ、顔のたるみを予防したり将来的な誤嚥のリスクを減らします。
それに舌からの味覚をきちんと働かせたり、よく噛むことで脳に刺激が入り、認知症の予防にもなります。
これから先の人生を楽しんで過ごすためにも、体の声を聞きながら元気な体をつくりましょう。
<参考>
臨床栄養ディクショナリー 山本みどり、佐々木公子、大池教子 メディカ出版