マンガンは「愛情ミネラル」ともよばれるミネラルです。
マンガンとは
原子番号25の元素です。マンガンもセレンと同じように土壌に多く含まれています。マンガンの豊富な土地で育った穀類や野菜に多く含まれます。また、川などの水にも溶けだして含まれています。
ヒトの体内では、12~20g含まれています。骨に特に多く含まれていて、その他、肝臓、膵臓、髪の毛など広い部分に含まれています。
食品中のマンガンは胃酸で溶けて小腸上部で吸収されますが、吸収率は数%と低いのです。吸収されたマンガンは肝臓で補酵素として働き、大部分は膵液や胆汁となって消化管へいきます。
マンガンの働き
・骨の形成促進
骨を形成する際や、骨や関節を丈夫にする結合組織を作る時に、マンガンが補酵素になっている酵素が必ず必要です。そのため、子どもの成長期にマンガンが足りないと発育不全を起こす可能性があります。
・性ホルモンの合成に関わる
性ホルモンの合成に関わって生殖機能をサポートします。動物実験ではマンガンの足りなかった親は育児放棄があったともされています。そのためマンガンは、愛情ホルモンとも呼ばれているのです。
・糖質・脂質・タンパク質の代謝の補酵素
マンガンは糖質や脂質、タンパク質の代謝をする酵素を助ける成分です。タンパク質の合成やエネルギーの産生にもなくてはならないものです。
・血液凝固因子の合成
血液の凝固をすすめる
・スーパーオキシドジズムターゼの成分
細胞内のミトコンドリアの近くで、スーパーオキシドジズムターゼという強力な抗酸化作用のある酵素の成分として役に立っています。
マンガンの必要量
(㎎/日)
男性 | 女性 | |||
目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 | |
0~5ヶ月 | 0.01 | 0.01 | ||
6~11ヶ月 | 0.5 | 0.5 | ||
1~2歳 | 1.5 | 1.5 | ||
3~5歳 | 1.5 | 1.5 | ||
6~7歳 | 2.0 | 2.0 | ||
8~9歳 | 2.5 | 2.5 | ||
10~11歳 | 3.0 | 3.0 | ||
12~14歳 | 4.0 | 4.0 | ||
15~17歳 | 4.5 | 3.5 | ||
18~29歳 | 4.0 | 11 | 3.5 | 11 |
30~49歳 | 4.0 | 11 | 3.5 | 11 |
50~64歳 | 4.0 | 11 | 3.5 | 11 |
65~74歳 | 4.0 | 11 | 3.5 | 11 |
75歳以上 | 4.0 | 11 | 3.5 | 11 |
妊婦 | 3.5 | |||
授乳婦 | 3.5 |
日本人の食事摂取基準2020より抜粋
マンガンの過剰症
食事からは通常の食事では起きにくいですが、穀類や豆類を中心とした菜食主義食は、マンガンが過剰になる可能性があります。
また、マンガンを扱う業種でマンガン中毒になるケースがあります。
パーキンソン病様症状、神経障害、生殖・免疫系の機能不全、肝障害、腎炎などの症状があります。
マンガンの欠乏症
通常の食事をしている分には起きにくいです。
症状は成長遅延、骨格異常、生殖能力低下、運動失調、脂質・糖質・タンパク質の代謝異常などがあります。
マンガンと薬の関係
フルオロキノロン類やテトラサイクリン類の薬と併用すると、吸収を阻害する可能性があります。
マンガンを多く含む食品
玄米、大豆製品、そば、アーモンド、ピーナッツ、さつま芋、キヌア、アマランサス、お茶など
マンガンを効率的にとるために
・茶葉に多く含まれ、食べるお茶や抹茶で摂ると抽出液減少率が少なくてすみます。
・吸収を邪魔する鉄分、カルシウム、リン、食物繊維、フィチン酸とは一緒に摂らない方が効率的に体に吸収することができます。
マンガンを効率的にとるレシピ
<豆のサラダ>
材料 2人分
ゆで大豆40g、茹で小豆20g、さつま芋1/2本、ピーナッツ10g、紫玉ねぎ1/4個、きゅうり1/2本、トマト1/2個、マヨネーズ大さじ1、酢小さじ1、塩コショウ少々
①さつま芋は一口大に切ってゆでて冷ます。
②小豆と大豆は一晩漬けたものを茹でてから冷ます(または茹でてあるものを用意する)
③きゅうりと玉ねぎ、トマトは角切りにする。
④①②③の材料を混ぜ合わせ、マヨネーズ、酢、しお、コショウで味付けする
⑤皿に盛り付けて、刻んだピーナッツを上から振りかけて、出来上がり!
イメージ
<参考>
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#search=’%E6%A0%84%E9%A4%8A%E5%9F%BA%E6%BA%96′
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 マンガン https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail681.html
栄養素図鑑 牧野直子 新星出版社
臨床栄養ディクショナリー 山本みどり 佐々木公子 大池教子 メディカ出版