人間いくつになっても、活き活きと毎日を楽しみながら、元気に生きたいですよね。元気な体を保つ上で、バランスの良い食事をして、栄養を摂ることはとても重要です。
年齢に合わせた食事をすることが、体への負担も減り健康保持に役立ちます。
高齢になるとそれぞれ、持病をお持ちの方も多いと思います。このサイトでは一般的な内容になりますので、主治医の先生から食事のアドバイスがすでにある方は、医師の指示に従ってください。
年をとると、若い頃に比べて色々と体に変化が出てきます。その変化に対応した形で食事を調整するのが望ましいのです。
高齢者の体の変化
・加齢と共に筋肉の委縮や筋力の低下、運動反射が遅くなる
・カルシウムの腸管吸収が減り、骨の密度が減り骨が脆くなる
・各臓器の機能が低下する
・吸収力の低下がある
・歯が少なくなることで、咀嚼機能の低下や、飲み込みにくくなる嚥下機能の低下がある
・腸の蠕動運動の低下で便秘になりやすい
・味覚や嗅覚などの感覚の低下
・記憶などの低下
※普段の生活状況や疾病などにより、大きく個人差があります。
栄養面での変化の傾向
・筋肉量や代謝の低下により、消費エネルギーが減少する
・味覚・嗅覚の低下により、味付けが濃くなったり食欲不振になる
・食欲不振や食べる量の減少、食材の偏りからタンパク質の量が足りないなどの低栄養傾向になる場合がある
・体の水分量が減るため、脱水になりやすい
・硬いものが食べにくくなり、肉や野菜の摂取量が減る。それに伴いタンパク質、ビタミンや食物繊維の量が低下する
高齢者の栄養基準
(自宅で過ごし座る時間が長い割合が高く、激しい運動はしない方を対象とした数値です)
エネルギー必要量(kcal/日) | タンパク質推奨量(g/日) | 脂質比率%(エネルギー比) | 飽和脂肪酸%(エネルギー比) | |||
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男女共通 | 男女共通 | |
65~74歳 | 2050 | 1550 | 60 | 50 | 20~30 | 7以下 |
75歳以上 | 1800 | 1400 | 60 | 50 | 20~30 | 7以下 |
健康保持のために
・可能であれば1週間に1回は体重を測り、体重に変化がないか確認しましょう。大きな変化がある場合や増え続けるまたは減り続けるなどの場合は、食べる量が多すぎたり、少なすぎたりするかもしれません。量の調整をしましょう。
・血圧に変化がないか、できれば血圧計で測りましょう。
・なるべく同じ時間にご飯を食べましょう。(夜間遅くはなるべく控えましょう)
・よく噛んでゆっくり食べましょう。
・水分をこまめにとりましょう。
食事について
基本的には、個人個人の体の変化・体調・嗜好・食習慣を考慮した上で、バランスを取っていくことが必要になります。
・できるだけ一日3食に分けて、色々なものを食べましょう。(1回量が少ない方が良い方は、5食/日に分ける方法もあります。)
・おかずから食べることで、栄養が取り入れやすくなります。
・硬くて食べにくいものは、小さめに切ったり、食べやすくなっているものを選びましょう。例:肉はスライスやひき肉料理にする。魚は身の柔らくて、骨が少ない魚を選ぶなど
・なるべく偏らないように、朝・昼・晩に食べたものをカレンダーに書くなど、記録するのも良いです。
・菓子や飲酒の量が、多くなりすぎないようにしましょう。
・塩分の摂りすぎにならないように、漬物の量を控えたり、調味料の量も気をつけましょう。
・野菜は味噌汁に多く入れることや、鍋物などにしたりすることでカサが減り、量を食べやすくなります。また食べやすいように小さい大きさに切ったり、すりおろすなどで食べやすくする方法もあります。
食事の工夫
・料理をするうえで大変なことがある場合は、切って売っているカット野菜や缶詰などの加工食品も使ってみましょう。
・電子レンジも活用して、調理の手間を減らしたり、食べやすくする工夫をしましょう。
・作るのが大変な場合は、宅配食事サービスを利用するなどの方法もあります。
・むせることが多くなったり、飲み込みにくくなったら、片栗粉でとろみをつける方法もあります。(市販のとろみ調整剤を使用するのも良い)とろみの濃さは、かかりつけ医か栄養士に確認しましょう。
厚生労働省 「健康づくりのための食生活指針 高齢者」
①低栄養に気をつけよう:体重低下は黄信号
②調理の工夫で多様な食生活を:何でも食べよう。だが食べすぎには気をつけて
③副食から食べよう:年をとったらおかずが大切
④食生活をリズムに乗せよう:食事はゆっくり、欠かさずに
⑤よく体を動かそう:空腹感は最高の味付け
⑥食生活の知恵を身につけよう:食生活の知恵は若さと健康づくりの羅針盤
⑦美味しく楽しく食事をとろう:豊かな心が育む健やかな高齢期
個人差が大きいので、参考になる部分を普段の生活にとりいれてみてくださいね。
<参考>
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
臨床栄養ディクショナリー 山本みどり、佐々木公子、大池教子 メディカ出版