炭水化物とは
糖質と食物繊維を合わせたものです。
糖質は炭素・水素・酸素が結合した化合物で体内で二酸化炭素と水に分解されて、1g当たり4kcalのエネルギーを産出し、私たちの活力の元となります。疲れた時には甘いものが食べたくなるとか、ご飯を食べたら元気が出たとか、とても分かりやすいですよね。
食品では私たちが毎日美味しくたべているお米、そば、パンやパスタ、それに使われる材料の小麦などが代表的なものです。私たちの主食として毎日の活動を支える食材です。
精製していないお米の粒には、白い部分のエネルギーのもとになる糖質と、外側の茶色の部分の腸の働きを助ける重要な役割をもつ食物繊維が入っています。できれば消化の問題がない人は、外側の皮と内側のお米と両方食べられる玄米を食べた方が良いのです。
お米の中の白い精白された部分は、ほとんどが糖質でデンプンと言われる成分です。このご飯のデンプンも体の中では消化酵素によってブドウ糖まで小さくなります。それからエネルギーとして使われるのです。
糖質の分類
炊いたご飯などのデンプンは多糖類、砂糖などは二糖類、点滴などで使われるブドウ糖などは単糖類と分かれます。
糖質の種類を細かく見ていきましょう。
<多糖類>
デンプン:ブドウ糖が多く結合したもので、穀類やイモ類、豆類に多く含まれます。
グリコーゲン:体内で体が直ぐに使えるように肝臓に貯蔵している糖質です。
セルロース:食物繊維の一種です。
<二糖類>
ショ糖(スクロース):ブドウ糖と果糖が合わさったもの
砂糖や果物に入っています。
麦芽糖(マルトース):ブドウ糖とブドウ糖が合わさったもの
麦芽や水あめ、甘味料
乳糖(ラクトース):ブドウ糖とガラクトースが合わさったもの
牛乳、乳製品、母乳に含まれます。
乳糖分解酵素を持っていない人は乳製品をとった時に下痢をします。
<単糖類>
ブドウ糖(グルコース)
糖質を作る成分として広く存在します。穀類・砂糖・果物に多く含まれます。 私たちの体の中でエネルギーをつくるもとになります。特に脳や神経細胞などはブドウ糖にエネルギー源を頼っています。そのため血液中に血糖として常に約0.1%存在します。体に必要なものとはいえ、近年ではとりすぎが問題で糖尿病の原因になったり、肥満の原因になります。
果糖 (フルクトース)
自然の物の中では果物やはちみつに多く含まれ、人工のものでは 砂糖にブドウ糖と共に入っています。体の中では腸から吸収され、肝臓でブドウ糖に変換されて利用されたり、中性脂肪となり、エネルギーや体脂肪のもとになります。とりすぎても直接的には血糖値は上昇させませんが、中性脂肪を上げ、肥満や動脈硬化、脂肪肝などの原因になります。血糖値は上げなくても多少血糖値を下げるホルモンのインスリンは放出させます。GI値は低くてもとりすぎは禁物です。
ガラクトース
ブドウ糖と結びついて乳糖(ラクトース)になります。牛乳や乳製品に入っていますが単独では存在しません。乳幼児のエネルギー源になります。乳糖をブドウ糖とガラクトースに分解するためには酵素のラクターゼが必要で、この酵素を欠く人は乳糖不耐症となりこれらを栄養とすることができません。そのまま大腸に達して腸内細菌が分解しガスと腹部膨満感の原因になるのです。
ガラクトース血症:遺伝病でガラクトースをグルコースに変換出来ない事で発症します。
糖質の摂取基準
日本人の糖質の摂取基準は一日当たり、エネルギー摂取量に対して50~65%となっています。
食事摂取基準2020より
そのうち、WHOからは砂糖の摂取推奨量は摂取カロリーの5%未満が望ましいという指針がでています。これは大人の平均的な量としてはおおよそ25gでステックシュガー6本分程度に相当します。それは、ペットボトルの清涼飲料水500mlの1/2量で一日分の砂糖をとることになります。
糖質の多い食品
デンプンの多い食品
米、小麦粉、パン、麺類、もち、せんべい、ポップコーン、スナック菓子など
糖質の多い野菜
じゃが芋、さつま芋、里芋、かぼちゃ、トウモロコシなど
砂糖が多く含まれる食品
洋菓子、和菓子、飴、菓子パン、清涼飲料水、フルーツジュース、ジャム、シリアル、アイスクリーム、アイスキャンディ―、ケチャップ、一部のアルコール飲料など
果糖が多く含まれる食品
はちみつ、果物類、清涼飲料水、フルーツジュース、菓子類、シリアルなど
加工品でラベルに「果糖ぶどう糖液糖」「フルクトースシロップ」など書いてあるものは原料に果糖が多く含まれています。また砂糖を多く含むものは、果糖とブドウ糖と両方一緒に体の中に入れているのです。
近年の糖質の問題
糖質の食べすぎは色々な弊害を及ぼします。体が使わずに余った糖質は、肝臓や脂肪細胞に脂肪として蓄えられて肥満になります。最近ではお酒を飲まないのに、スイーツに多く含まれる砂糖やフルーツを多く食べすぎて脂肪肝になる人が増えています。
また糖質の食べ過ぎはインスリンという血糖値を下げるホルモンを乱用するため、膵臓が疲弊し糖尿病になりやすくなります。特に砂糖などの糖類は、吸収がとても早いので食後の血糖値が急激に高くなりやすく、体に負担をかけます。高血糖になることが増えると糖尿病になるばかりでなく、体を老化させます。動脈硬化につながったり、骨粗鬆症や認知症のリスクも増えます。
また、疲れたからと言って甘いものばかり食べていると、糖質を分解するのにビタミンを多く使ってしまうので、体の中ではビタミン不足になりもっと疲れるという悪循環につながります。
脳には甘味は麻薬のようなもので、ひどい場合には依存症になることもあるのです(砂糖依存症)。無意識についつい甘いものに手が出る人は要注意です。
甘くて美味しいものは沢山ありますが、量と頻度はほどほどにしましょう。
<参考>
1)果糖の代謝 http://hobab.fc2web.com/sub4-Fructose_Metabolism.htm
2)ウィキペディア ガラクトース https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%B9
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