マグネシウムは、骨や歯の形成に欠かせない大切なミネラルです。
マグネシウムとは
マグネシウムは原子番号12の金属で、地球上で6番目に多い元素です。植物の中にはクロロフィルという形で存在します。
マグネシウムは成人の体内では、約25g程度あり、主に骨や筋肉の中に存在します。
マグネシウムは体の中では骨や歯などの構成成分であるほか、300種類もの酵素の働きをしたり、ミネラルバランスを保っています。神経の興奮を鎮めてストレスを緩和する働きや筋肉を動かすことなど重要な役割を果たしています。
マグネシウムが不足すると、骨から血液中に溶けだして骨が脆くなります。元々マグネシウムの貯蔵量はそれほど多くはないので、摂取量が足りないと簡単にマグネシウム不足に陥りやすくなります。
マグネシウムの働き
骨や歯を健康に保つ
マグネシウムは、カルシウムやリンと共に骨や歯を強く維持するために重要です。体内でマグネシウムの60%は骨の中に存在して、弾力性を持たせています。またカルシウムが、きちんと骨や歯に届くような働きをしています。そのため、マグネシウムとカルシウムの割合が1:2であることが重要なのです。
代謝を助ける
マグネシウムは、300種類以上の酵素を助ける役割をしています。糖質・脂質・タンパク質の代謝に関係し、特にATPというエネルギー産生に関わっています。
筋肉を動かす
マグネシウムは筋肉が動くときにも、血中や細胞内のカルシウム量を調節して、スムーズに動くことが出来るように関わっています。
マグネシウムが足りないと、運動中にスムーズにカルシウム量を調整できず、けいれんや筋肉痛など起こりやすくなります。
心臓の機能を助ける
心臓の筋肉も、他の筋肉と同様にマグネシウムが足りないと拍動が正常に出来なくなります。狭心症や心筋梗塞のリスクも高まります。
高血圧を予防する
マグネシウムは、動脈を弛緩させる働きがあります。マグネシウムは他の血圧に関するミネラルとの調整もすることで、高血圧になるのを防いでいます。
ストレス緩和
マグネシウムは神経の興奮を抑える働きがあります。イライラした気分を鎮めストレスの緩和につながります。
神経伝達を正常に保つ
集中力を高めたり、体温調節を正常にするなど、神経の伝達が正しく行えるようにしています。
生活習慣病の予防
血糖値の改善やコレステロールの改善に期待されています。
マグネシウムの必要量
(mg/日)
男性 | 女性 | |||||||
平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 上限量 | 平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 上限量 | |
0~5ヶ月 | 20 | 20 | ||||||
6~11ヶ月 | 60 | 60 | ||||||
1~2歳 | 60 | 70 | 60 | 70 | ||||
3~5歳 | 80 | 100 | 80 | 100 | ||||
6~7歳 | 110 | 130 | 110 | 130 | ||||
8~9歳 | 140 | 170 | 140 | 160 | ||||
10~11歳 | 180 | 210 | 180 | 220 | ||||
12~14歳 | 250 | 290 | 240 | 290 | ||||
15~17歳 | 300 | 360 | 260 | 310 | ||||
18~29歳 | 280 | 340 | 230 | 270 | ||||
30~49歳 | 310 | 370 | 240 | 290 | ||||
50~64歳 | 310 | 370 | 240 | 290 | ||||
65~74歳 | 290 | 350 | 230 | 280 | ||||
75歳以上 | 270 | 320 | 220 | 260 | ||||
妊婦 | +30 | +40 | ||||||
授乳婦 | +0 | +0 |
通常の食品以外の摂取量の耐容上限量は成人で350㎎/日、小児では5㎎/㎏/日
通常の食品からの摂取の場合、耐容上限量の設定はない。
日本人の食事摂取基準2020より抜粋
マグネシウムの過剰症
マグネシウムを多くとりすぎると、小腸で吸収量が調整されます。通常での食事からは、少し多い分には、尿や汗で多く排出される程度です。下剤でマグネシウムが主体の製剤があるように、多くとりすぎると便が緩くなります。
サプリメントなどで一度に多くとりすぎると、筋肉や神経の動きに障害が生じたり、低血圧、しびれ、下痢などを起こすこともあります。
腎臓病がある人は、多く摂りすぎないようにすることが必要です。
マグネシウムの欠乏症
マグネシウムは前途した通り、カルシウムとのバランスがとても大切になります。
通常の食生活ではおおよそ足りている人が多いのですが、状況によって足りなくなる場合があります。例えばストレスが多い時や睡眠不足、運動不足の時にはマグネシウムの消費が多く、足りなくなる時があります。また加工食品や肉類、ジュースなどを多くとる人は、リンの摂りすぎで足りなくなる場合があります。それとアルコールの多飲や利尿剤を飲んでいる人は外に出されてしまうので、不足する可能性があります。
欠乏症の症状は筋肉のけいれん、筋肉痛、慢性疲労、注意力散漫、不安、神経過敏、血圧上昇、動脈硬化、狭心症や心筋梗塞があります。さらに進むと血管や臓器へのカルシウム沈着なども起こります。
マグネシウムの多い食品
ひじき、ほうれん草、大豆製品、まぐろ、かつお、キンメダイ、アーモンド、玄米など
マグネシウムの吸収のために
マグネシウムは腸から吸収され、摂取量が300~350㎎の場合は30~50%の吸収率です。
条件によっても変動があり、カルシウム・リン・フィチン酸・食物繊維と一緒だと吸収率が下がります。
また、コーヒーやアルコールを多く飲むと外に排出されやすく、利尿剤やカルシウムの多飲でも多く排出されて不足することがあります。
マグネシウムを効果的にとるためのレシピ
<ほうれん草の白和え>
材料2人分
ほうれん草1/2わ、木綿豆腐100g、ひじき5g、ローストアーモンド10粒、砂糖小さじ1、しょうゆ小さじ1.5
①ひじきは水で戻し、茹でて冷ましておく
②ほうれん草は茹でて冷水にとりよく水を絞ってから、3cm位に切り分ける。
③アーモンドは細かくみじん切りにする。
④豆腐は1分(500w)レンジにかけて、水分をきり、冷ましてすりつぶす。
⑤④の豆腐に砂糖、しょうゆ、アーモンドを入れて良く混ぜて、ひじきも入れてさらに和える。
⑥⑤にほうれん草を加えて和えて出来上がり!
イメージ
<参考>
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#search=’%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E6%91%82%E5%8F%96%E5%9F%BA%E6%BA%962020‘
国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail33lite.html
栄養素図鑑 牧野直子 新星出版社
安全においしく食べるためのあたらしい栄養学 吉田企世子 松田早苗 高橋書店