硫化化合物とは
野菜などに含まれる「イオウ」を含む化合物で、ツンとした匂いがするのが特徴です。イオウは温泉などに含まれる成分ですが、体内でも野菜などから取り込み、使われるミネラルのひとつです。ツンとした匂いといえば、玉ねぎ、ネギ、わさびなどが分かりやすいですよね。その他、大根、キャベツ、にらなどにも含まれています。
この独特な匂いの成分が、私たちの体内で役に立ってくれています。ただ、ニオイが翌日まで残ることもありますので、食べすぎにはご注意を!
硫化化合物の種類と働き
アリシン
アリシンはあのニンニクの匂いのもとです。アリシンは体内で色々な働きをします。まず殺菌作用が高いので、細菌からの食中毒の予防をします。またナチュラルキラー細胞活性化して免疫力を高めます。アリシンが分解される過程でできる硫化アミノ酸は、体内の有害物質や発がん物質を体外に出す助けをします。デトックスに欠かせません。それに抗血栓の作用もあります。それにビタミンB1と結合して「アリチアミン」になり、体内で疲労回復を助けます。長ネギ、玉ねぎ、にらなどにも含まれています。
イソチオシアネート
ワサビに含まれるイソチオシアネートは、あのツンとした匂いのもとです。イソチオシアネートには抗菌作用があります。そのような作用を活用して昔からお刺身やお寿司には、ワサビを使って食中毒を防いだのですね。
硫化プロピル
硫化プロピルは生の玉ねぎに含まれる成分です。血液中の糖分の代謝を促進して血糖値を下げる助けをします。切った後にしばらく置いて空気にさらしたり、加熱すると「トリスルフィド」という成分に形が変わります。トリスルフィドは、血中の中性脂肪やコレステロールを下げる働きをします。そして、さらに加熱してきつね色になるくらいになると「セパエン」という物質にかわります。セパエンはさらに血中の脂質を下げる働きがあり、サラサラ血になる助けをします。動脈硬化予防に強い味方ですね。
サイクロアリイン
サイクロアリインは、血行を良くして代謝を高めます。それに血液中に出来た血栓を溶かす作用があります。動脈硬化予防、心筋梗塞や脳梗塞の予防になります。玉ねぎに含まれています。
硫化アリル
硫化アリルは、玉ねぎやニンニクに含まれています。玉ねぎのあのツンとくる刺激臭のもとです。硫化アリルも血栓を溶かす作用があります。動脈硬化予防、心筋梗塞や脳梗塞の予防になります。
ジアリルスルフィド
ジアリルスルフィドは、硫化アリルを含む成分です。ニンニク、玉ねぎ、ラッキョウなどに含まれます。強い殺菌作用があり、胃炎や胃がんの原因になるピロリ菌にも有効といわれています。それに発がん物質を解毒する酵素を活性化する働きをします。ビタミンB1の吸収を高め、疲労回復にも役立ちます。
チオスルフィネート
玉ねぎを切った時にでるあの催涙の成分です。実はそんな刺激成分にも強い殺菌作用があります。それに血小板の凝集を抑えて、血をサラサラにする作用があるので血栓の予防になります。さらにアレルギーや炎症を抑える働きもあります。
シクロアリイン
玉ねぎを長時間加熱するとできる成分で、肝臓から血液中にでる中性脂肪やコレステロールを減らす働きがあります。そのため、動脈硬化の予防や高脂血症の予防に有効です。
s‐メチルシスティンスルホキシド
玉ねぎに含まれています。脂肪やコレステロールを合成する酵素の働きを抑制します。そのため高脂血症や動脈硬化の予防につながるのです。
s‐メチルシスティンルホキシド
キャベツに含まれる成分です。胃の粘膜を保護し、炎症を鎮めます。潰瘍がある場合は痛みを緩和します。胃炎や胃潰瘍の予防になります。
6‐メチルスルフィニルヘキシルからし油
わさびやワサビ大根に含まれる成分です。胃がんのがん細胞の増殖を抑える作用があります。
硫化化合物は匂いだけではなく、体内で色々な働きをしているのです。少しずつ毎日とり入れるのが望ましいですね。
<参考>
栄養素図鑑 牧野直子 新星出版社
食べて治す 最新 栄養成分事典 中嶋洋子 蒲原聖可 主婦の友社