ビタミンCは美容のビタミンとして有名ですが、それ以外にも色々な働きをしています。
ビタミンCとは
ビタミンCは水溶性のビタミンで、別名アスコルビン酸とも言われます。人間の体内で合成することは出来なく、食品から摂るしかありません。水に溶けやすく、酸性では安定していますがアルカリ性、光、熱、空気、金属には不安定な性質を持っています。
食事から体内に入ると、小腸から吸収されて肝臓にいき、そこから全身に送られます。90%という高吸収率ですが、使われなかった分は尿として外に排出されるので、毎日摂ることが必要です。
体の中で、筋肉や肌、骨を作るのにも大切なコラーゲンを合成することに関与したり、活性酸素から体を守ったり色々な働きをしているのです。
喫煙、ストレス、激しい運動、日焼けなどによってかなり消費されるので、住んでいる地域や環境、生活状況によって必要量も変わってきます。
ビタミンCの働き
コラーゲンの合成
コラーゲンは体の構成部分の大部分にあります。骨・筋肉・肌などで細胞と細胞の接着剤のような役割をしているものです。それが減ってくると肌のハリが失われたり、筋肉や骨の構成が弱くなります。ビタミンCはコラーゲンを合成するときに、補酵素として重要な役目を果たしています。
鉄の吸収
食事からとる鉄は、吸収されにくい性質をもっています。ビタミンCは鉄を吸収しやすい形に変えて、吸収率を高めています。
活性酸素から体を守る
活性酸素が体の中に増えるとがん、老化、動脈硬化など色々な病気の原因になります。ビタミンCは抗酸化力が強く、還元作用を利用して活性酸素を消去するのです。目の白内障も活性酸素がひとつの原因なので、ビタミンCをしっかり摂ることで予防になります。
肝臓の解毒
ビタミンCは肝臓の薬物の代謝に使われる酵素を活性化し、解毒を促す働きもしています。
ホルモンの合成
ビタミンCは副腎皮質ホルモンの合成やドーパミンからノルエピネフリンへの合成も促しています。またステロイドホルモンの酸化防止や生合成の促進に関わったり、脳下垂体ホルモンの合成にも関与しています。
抗ストレス
ストレスに関しては上記のホルモンが関係しています。ストレスを受けた時にはアドレナリンが多く出ます。そのアドレナリンを出すときに、多量のビタミンCを使います。ストレスを感じて煙草を吸うような事も、さらにビタミンCの必要量を増やしてしまいます。
免疫を高める
ビタミンCは体に入った病原菌を攻撃する白血球を助けます。それにビタミンC自体も病原菌を攻撃して、免疫力を高め感染を防ぐ働きをしています。
また抗ウイルス作用のある、インターフェロンという物質をつくることを体に促します。インターフェロンは抗生物質の効かないウイルスの核酸を破壊し、タンパク質が作られるのを防ぐ働きをするウイルスと戦う免疫物質です。
また、皮膚や粘膜を健康に保つことも感染予防にはつながっています。
肌の美白
日焼けした時にできるメラニン色素の沈着がシミの原因になります。ビタミンCはこのメラニン色素の生成を促す「チロシナーゼ」という酵素の働きを邪魔して、シミが出来ることを防いでいます。美白やシミの予防に役立っています。
ビタミンCの必要量
(㎎/日)
男性 | 女性 | |||||
平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | |
0~5ヶ月 | 40 | 40 | ||||
6~11ヶ月 | 40 | 40 | ||||
1~2歳 | 35 | 40 | 35 | 40 | ||
3~5歳 | 40 | 50 | 40 | 50 | ||
6~7歳 | 50 | 60 | 50 | 60 | ||
8~9歳 | 60 | 70 | 60 | 70 | ||
10~11歳 | 70 | 85 | 70 | 85 | ||
12~14歳 | 85 | 100 | 85 | 100 | ||
15~17歳 | 85 | 100 | 85 | 100 | ||
18~29歳 | 85 | 100 | 85 | 100 | ||
30~49歳 | 85 | 100 | 85 | 100 | ||
50~64歳 | 85 | 100 | 85 | 100 | ||
65~74歳 | 80 | 100 | 80 | 100 | ||
75歳以上 | 80 | 100 | 80 | 100 | ||
妊婦 | +10 | +10 | ||||
授乳婦 | +40 | +45 |
日本人の食事摂取基準2020より抜粋
ビタミンCの過剰症
ビタミンCは水溶性のビタミンなので食事からの分では過剰症の心配はありません。
ただ、サプリメントなどで一度に多量にとると、嘔吐・下痢・腹痛・発疹などの症状が出ることがあります。
また腎機能障害がある人は腎結石・尿路結石のリスクが高まります。
ビタミンCの欠乏症
ビタミンCが不足すると起きる有名な欠乏症が壊血病です。コラーゲンが必要な分作られないため、血管や組織が弱くなり出血が止まらなくなる病気です。
そこまでひどくなくても、歯ぐきからの出血、老化、肌のハリがなくなる、シミが増える、貧血、疲労、免疫が落ちて感染症にかかりやすくなる、傷の治りが遅くなる、骨粗鬆症などの症状が出てくる可能性があります。
ビタミンCの多い食品
パプリカ、芽キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、柿、キウィフルーツ、アセロラなど
ビタミンCを効果的に摂るために
・水と熱に弱いので、果物はなるべく生で食べるようにしましょう。野菜を水にさらすときは必要最小限にしましょう。
・野菜を保存する日数が長いとビタミンCが減っていきますので、新鮮な野菜を購入し、なるべく早めに食べましょう。
・タバコやストレスはビタミンCを多く消費します。またタバコを吸わなくても、周りにいる人の吸った煙の副流煙を受ける場合には、同じようにビタミンCを消費します。積極的にビタミンCの多いものを食べましょう。
ビタミンCと薬の関係
・エストロゲンや経口避妊薬はビタミンCの排泄を促します。
・ビタミンCは銅の吸収を阻害し、鉄の吸収を促進します。
・ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬 (DCCBs)は、ビタミンCの排泄を促進します。
ビタミンCを効果的にとるレシピ
<ビタミンCたっぷりカラフルサラダ>
材料2人分
水菜50g、ブロッコリー50g、カリフラワー50g、パプリカ黄・赤各1個、トマト1個、オリーブオイル大さじ1、 レモン半分またはレモン汁大さじ1、 塩コショウ 少々
① 野菜は全て水洗い後、水気をきる。ブロッコリーとカリフラワーは、食べやすい大きさに切り分け、軽くボイルするかまたはレンジで2分(500w)加熱し冷ましておく。
② パプリカはスライス、トマトはくし切りに切る。
③ 水菜は4cmぐらいの長さに切っておく。
④ レモンをしぼるまたは、レモン汁を用意する。
⑤ ①②③の材料を全て混ぜ合わせ、皿に盛り付けて、塩・こしょうを振りかけて、オリーブオイル・レモン汁を回し入れて出来上がり!
イメージ
<参考>
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#search=’%E6%A0%84%E9%A4%8A%E5%9F%BA%E6%BA%96‘
国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail45.html
臨床栄養ディクショナリー 山本みどり 佐々木公子 大池教子 メディカ出版