コロナウイルスの流行で生活が変わり、イライラしたり、不安になったり、ストレスを感じている方も多いのではないでしょうか。仕事に支障が出て気持ちが重くなったり、在宅ワークで生活リズムが崩れたり、生活の変化で体がだるかったり・・・ストレスの原因になる出来事が通常よりも多いですよね。
また、精神的なストレスに加えて、肉体的にも気温や湿度、体調など私たちの体は色々なストレスを対処していて大変な状況です。
その都度ストレスサインを見逃さず、その時に出来ることを行うことでストレスが軽減されます。
1、ストレスについて
1)そもそもストレスって何?
ストレスとは外部からの刺激によって、気持ちや体に生じる緊張状態(ストレス反応)のことです。外部からの刺激というのは、仕事が忙しい、うまくいかない、人間関係で悩むなどの社会的要因、天候・騒音などの環境的要因、病気にかかる・睡眠不足などの身体的要因、不安や悩みなどの心理的要因などがあり、日常の様々な変化がストレスの原因となりえます。またストレスは悪いことばかりではなく、良い刺激もあります。例えば、結婚や出産、入学、卒業、引っ越しなど新しい環境になる時にも一定のストレスはあります。
また、ストレスは急性と慢性があります。急性のストレスとは、例えば何かショックなことを聞いた時、会議でのプレゼンテーションなど精神的にストレスがかかる場合や急に冷たい水に入る時などの身体的にストレスがかかる場合、一時的にストレスがかかることです。
慢性のストレスとは、例えば職場の人間関係などでずっと悩んでいたり、事故に巻き込まれるなど精神的身体的なストレスを長期的に感じる状況にあることです。
ストレスは自律神経が大きく関係しますが、急性の場合は交感神経が優位になり体は戦闘態勢となります。血圧や血糖値の上昇、心臓はドキドキし、手に汗を握る、血液は固まりやすくなり、筋肉は硬直するような体の変化があります。
一時的であれば、その後副交感神経が優位になり、体がリラックスモードに入り心拍数は通常に戻り、血圧や血糖値も戻ります。
日常の生活では色々な出来事とともに、このような自律神経の調整により繰り返されているのが通常です。ただ、問題なのはそのストレスが長期間続き慢性化することなのです。長期間続くと体の中では色々な問題が生じてきます。
高血圧、心臓病、糖尿病などの慢性病にかかりやすくなる、免疫が低下し風邪をひきやすくなったり、気分的に落ち込みうつ病になりやすくなる、認知症にかかりやすくなるなど多くの問題が出てくる可能性があるのです。
生きている限り、全くストレスが無いということはないので、どうやって付き合っていくのかが大切です。
負担に思うストレスが続くときには、心も体も悲鳴を上げているかもしれません。
私たちはストレスを感じている時には色々な体の反応があります。ストレスのサインを感じたら、早めにケアをしましょう。
2)ストレスのサイン~体が対処できなくなってきた時には体にどんな変化が出てくるのでしょうか
・不安になったり、緊張したり、普段以上に疲れを感じる
・イライラしたり、怒りっぽくなる
・気分が落ち込む
・やる気が出ない
・人づきあいが面倒になり、避けるようになる
・寝つきが悪くなったり、夜中や朝方に目が覚める
・肩こり、頭痛、腹痛などの症状がでる
・めまいや耳鳴り、心臓が急にドキドキする動悸がある
・普段に比べて食欲がない、もしくは食べすぎてしまう
・下痢になったり便秘になる
・涙がでる
このような症状が出てきたら、ストレスのサインかもしれません。
放っておかずになるべく早めに対処した方が良いのです。
3)ストレスの耐性度
ストレスの耐性度は個人差があり、よくバケツに例えられます。一人ひとり耐えられるストレスの量は、バケツの大きさが違うようにそれぞれ違うのです。また人によって同じ環境下であっても、その受け止め方は様々です。
それにストレスを感じた時に出るサインは一人ひとり違います。ストレスを感じた時に自分がいつもどんな風になるのかを知っておきましょう。例えば上記に書いた変化のサインがいくつか当てはまる人もいるかもしれませんし、その他にもいつもと違う反応をする、呼吸が浅く早くなる、蕁麻疹やアレルギー反応が強くなるなどの症状が出る場合もあります。
ストレスホルモンによって体に影響が出てくる場合があります。ひどくなると、動悸がしたり、血糖値が高くなったり、血圧が上がったり、血流が悪くなったり、病気を引き起こす可能性もあるのです。
4)ストレス状態を長期間放置してしまうとどんなことが起こるのでしょう?
ストレスには段階があります。
第1段階:警告反応期
ストレスに対して体の緊急対応をしている時です。ストレスを受けてすぐの状況で、体温・血圧・血糖値の低下、血液の凝縮、胃潰瘍の形成などがあります(ショック相)。その後、体温、血圧、血糖値の上昇があり、副腎の肥大、筋肉の緊張などがでてきます(抗ショック相)。イライラしたり、肩こり、ミスなどが起こりやすくなります。
第2段階:抵抗期
ストレスがそのまま続くと適応反応は抵抗期に入ります。この時期は持続するストレスの原因のストレッサーと私たちの体や気持ちの抵抗力とが一定のバランスをとり、生体防衛反応が完成される時期です。しかしエネルギーが消耗すると、適応力が徐々に低下していきます。
第3段階:疲弊期
長期にわたって多くストレスを受け続けたために、体が疲労困憊し、もはやストレスに適応できなくなった状態です。
こうなると、最初にストレスを受けた時のショック相に似たような症状が起きてきます。それ以降のストレスは、すべて生体にとって悪影響を及ぼします。気分が深く落ち込み、無気力、集中力の低下、物忘れがひどくなります。
非常に病気になりやすくなり、精神的にはうつ病や心身症などの発症率も高くなってきます。身体的には体重が増えたり、糖尿病、高血圧、心臓病、認知症などにもなりやすくなります。
そして、このまま放置すると、生命を維持するのは困難になって、体温の下降、胸腺・リンパ節の萎縮、副腎皮質の機能低下などが起こり、死に至ることもありますので、専門家の関与が必要です。
5)具体的には何をしていくと良いのか
ストレスは交感神経が優位に働いている緊張状態なので、副交感神経を優位にするようなリラックス効果の高いことを生活にとり入れていきましょう。
ストレスが1か月間続くようなことがあれば、なるべく早めにストレス解消していきましょう。心が疲れ切らないうちに対処していきましょう。
具体的には、以下のようなことを無理なく行っていくのがお勧めです。
<具体例>
・ヨガや瞑想、ぬるめのお湯に入浴する
・ウォーキング、軽いジョギングやダンスをしてハッピーホルモンのセロトニンをだす
・日光浴をする
・趣味に没頭する
・コメディや楽しいものをみて、笑う時間を増やす
・ガーデニングをして土をさわったり、草花や自然に触れることで心が癒されます
・ペットを可愛がる
・旅に出る(コロナパンデミックが終わったら)
・深呼吸をする
・掃除をする
・仲の良い人と話す
・睡眠時間を確保する
・音楽を聴く
・リラックスできるお茶などを飲む
・ストレスのたまりにくい食生活をする
それでも改善できないストレスには一人で悩まず早めにプロのカウンセラーに相談する、または心療内科に相談するなどの対策をとりましょう。
2、ストレスに負けないための食生活
体はストレスを感じると特定のホルモン(アドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールなど)を大量に放出しストレスに備えようとします。その大量に放出されたホルモンが脳の興奮を引き起こしたり、ホルモンバランスの乱れでイライラします。
この状況下では体の仲の栄養素も多く消費され、不足するとまたホルモンバランスが整わずイライラするという悪循環に陥ります。食事からストレスを軽減できる食事を紹介したいと思います。
<ストレス状況下で必要な栄養補給>
・ビタミンB群:体がストレスと戦うための副腎からのホルモン合成に必要
です。
ビタミンB1豚肉、レバー、うなぎ、かつお、玄米など
ビタミンB2レバー、うなぎ、さば、鶏卵、乳製品など
ビタミンB6ハッピーホルモンのセロトニンの原料の一つでレバー、魚介類(マグロ、か つお、鮭など)鶏肉、など
・ビタミンC:体がストレスと戦うための副腎からのホルモン合成に必要です。また抗酸化ビタミンとしても重要です。
パプリカ、ブロッコリー、ピーマン、小松菜、じゃが芋、いちご、キウイフルーツなど
・ベータカロチン:ストレスにより体内で起きる活性酸素が増えることを抑える抗酸化機能に必要です。免疫を高める上でも重要です。
人参、かぼちゃ、ほうれん草、ブロッコリーなど
アボカド、アーモンド、かぼちゃ、ぶり、うなぎなど
・ビタミンⅮ:脳を酸化ストレスから保護しドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを改善する。近年うつ病予防にも注目されています。日光に当たることで体の中でも合成されますが、ステイホームで家の中にこもっていて不足している方も多いと思います。
きくらげ、干しシイタケ、あん肝、紅鮭、カレイ、さんま、さばなど
・タンパク質:ストレスに対応するホルモンの合成に必要です。
肉類、魚介類、大豆製品、乳製品など
特にストレスを軽減するハッピーホルモンのセロトニンの原料になるのがタンパク質の成分のアミノ酸一つのトリプトファンです。ビタミンB6と一緒にとるのがお勧めです。
トリプトファンの多いもの:牛乳・チーズなどの乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品、肉類、卵、バナナなど
<ストレスを軽減する作用のあるもの>
・カルシウム:骨の原料や心臓、筋肉の働きを助けるカルシウムが不足すると、気分的にもイライラしやすくなります。不足のないようにとりましょう。
牛乳、ヨーグルトなどの乳製品、小魚や骨ごと食べられるように加工してある魚介類、大豆製品、小松菜など
・マグネシウム:マグネシウムが不足すると脳内の伝達物質ドーパミンが減ります。それと同時にハッピーホルモンのセレトニンの分泌も少なくなり、ストレスがたまりやすくなってしまうのです。
玄米、牡蠣、まぐろ、大豆製品、ひじき、アーモンドなど
・オメガ3系脂肪酸:オメガ3系脂肪酸には抗不安作用があると言われています。
アジ、イワシ、さんま、サバなどの青魚に多く含まれます。
・テアニン:アミノ酸の1種で緑茶に含まれます。リラックス効果があり、副交感神経が優勢になるのを助けます。
・ポリフェノール類:全般的に抗酸化作用があり、ストレス下では活性酸素が増えるのでポリフェールの高いものをとるのがお勧めです。
ブルーベリー、チョコレート、お茶、コーヒーなど
ストレスを感じるときには、なるべく早めにケアしていきましょう。
<参考>
厚生労働省e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-001.html
ニキハーティホスピタルhttp://niki-hp.or.jp/stress1.html
保健指導リソースガイドhttp://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2018/007749.php
厚生労働省 みんなのメンタルヘルスhttps://www.mhlw.go.jp/kokoro/first/first02_1.html
フォームズのブログhttps://blog.formzu.com/stress_sign
京都府精神保険福祉総合センターhttp://www.pref.kyoto.jp/health/health/health09_b.html