秋の味覚  松茸 

朝晩に涼しい風を感じて、松茸料理を見かけると秋が来たことを感じます。風味豊かな松茸は高級品で、なかなかいつも食べるという訳にもいきませんが、シーズンに一度は食べたい味です。 これは実は私たちのご先祖様から引き継いだ、日本人の味覚や嗅覚を育ててきた一つの秋の味だからかもしれませんね。   松茸の名前の由来 松の林に生えるキノコで、「松茸」とよばれるようになりました。   松茸の歴史 原産地は日本です。日本ではきのこを食べる食文化は古くからあり、縄文時代にはきのこを食べていた様子が残されている遺跡があります。岡山市には弥生時代に作られた土器から、松茸の形をしたものがでてきます。日本書紀には天皇に何の茸かは解かっていませんが、「茸」が献上された記録が残っています。奈良時代の万葉集には、松茸の短歌が載っていました。その後の平安時代には、もうすでに貴族が松茸狩りを季節の行事として楽しんでいたようです。 安土桃山時代には武士も松茸狩りをし、江戸時代には庶民も松茸狩りを楽しんでいました。 ずっと日本人に愛されてきたキノコであることが歴史からもわかりますね。   松茸の流通 松茸は香りを落とさないためにカサが開く前に収穫するので、発見するのが難しいきのこです。栽培するのは難しく、自然に自生しているのを探すほかありません。それに昔に比べて松林が減ったこともあり、国内での流通は減少し国内産は高値になりました。 最近では、韓国、中国、北朝鮮、欧米の国などからの輸入も増えてきました。   松茸の香りの特徴 「香り松茸味しめじ」ともいわれる、松茸のあの独特な匂いの主成分はマツタケオール、イソマツタケオール、桂皮酸メチルという成分です。特に桂皮酸メチルが独特な匂いのもとです。カサが開いてしまうと香りが減ってしまいます。   松茸の選び方・保存 選び方:表面が湿っていて、軸が太く硬いもの。カサが開いていないものを選びましょう。 保存方法:乾燥させないように、新聞紙で包んで冷蔵庫にいれましょう。冷凍することも可能ですが、香りは薄れるので早めに食べましょう。 下準備:香りを逃さないため、水洗いはせずにふきんで汚れを拭き取ります。   松茸料理 焼き物、煮物、土瓶蒸しなどの蒸し物、汁の具、松茸ご飯など   松茸の栄養価 松茸は栄養成分は多くは含んでいませんが、ビタミンB群、カリウム、食物繊維が含まれています。   東洋医学からみた「松茸」 松茸は寒熱性のない「平性」に属します。 ・胃腸の働きを促進する作用 ・体内の気を巡らし痛みを止める作用、 ・痰を除く作用 があります。 「気血両虚」「食積痰湿」「肝陽亢盛」「気滞うっ血」「陰虚」「陽虚」「老人」「小児」「妊婦」のどのタイプの人たちも問題なく食べることができます。   松茸を楽しむレシピ 松茸ご飯 材料 米1合、松茸2本、油揚げ1/2枚、みつば、だし汁180㎖、酒大さじ1、醤油小さじ1/2、みりん小さじ1、塩ひとつまみ ①米は洗い、ざるにあげて30分おく。 ②だし汁を用意する。 ③油揚げは油抜きをして、細切りに切る。みつばは洗ったあと2㎝程度に切っておく。 ④松茸はぬれぶきんで汚れを拭き、スライスに切る。 ⑤だし汁に調味料を入れ、油揚げと松茸をサッと煮立たないように煮る。(必ず煮立つ前に火を止めること。長く煮ると香りが飛び、水分も減ってしまうので気を付けましょう。) ⑥煮汁の予熱が取れたら、炊飯器に①の米と煮た具材と煮汁を入れて、炊飯器のスイッチを入れる。 ⑦炊きあがったら器に盛り付け、三つ葉を上に乗せて出来上がり!     イメージ トップへ戻る   ホームへ戻る   <参考> ウィキペディア  松茸 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%84%E3%82%BF%E3%82%B1 東方栄養新書    梁こうせんかく     メディカルユーコン 日本食品成分表2020        医歯薬出版 ... Read More | Share it now!

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秋の味覚  秋なす

「秋なすは嫁に食わすな」という言い伝えがあり、「秋のなすはアクが強いから体を冷やすので良くない」とお嫁さんを案じて生まれた言葉と言われています。 秋なすは、9月から10月の始めにかけて収穫するなすのことで、その頃は畑では朝晩の気温が下がり、日中と比べて温度差が生まれます。そのため、夏とはまた違った旨味のあるなすになるのです。   なすの旬 なすは現在、通年生産されていますが、本来の旬は、6月から10月頃です。 なすの名前の由来 まず「夏味」という夏に味が良いので付けられた名前が転じて「なす」になったという説があります。その他に沢山実がなるので「なり進む」という言葉からきたなど、色々な説があります。   なすの歴史 なすの原産はインドです。古くから栽培されていて、5~6世紀には中国でも栽培されていた記録があります。日本へは8世紀ごろには入ってきました。奈良時代の「正倉院文書」になすの記述があり、その頃からなすびと呼ばれていたようです。10世紀には盛んに栽培されて、始めは貴重な野菜でしたが、江戸時代には庶民にも親しまれる野菜になりました。 なすは世界中で食べられている野菜のひとつです。各国に多種多様ななす料理があります。   なすの種類 日本国内の中だけでも、なすは種類が沢山あります。 民田なす、加茂なす、長なす、水なす、早生真黒なすなど多岐に渡ります。   なすの選び方と保存方法 選び方:ヘタの切り口が白く、ガクのとげが痛いぐらいで、身に張りがあり黒っぽく紫色に光っているものが新鮮です。 保存:低温と乾燥に弱いので、冷蔵庫はあまり冷えすぎない所に、乾燥しないよう新聞紙で包んだり口を軽く開けた袋に入れましょう。 下準備:使う時には、水にサッとつけてあく抜きをして、良く水を切ってから使いましょう。 なす料理 なすはクセがなく、色々な料理を楽しむことができます。油を使う料理では、特に紫色が鮮やかに映えます。 炒め物、焼きナス、なすの天ぷら、味噌汁、煮びたし、浅漬け、ぬか漬け、パスタ、グラタンなど   なすの栄養価 なすは、水分が多くカリウムなどのミネラル、ビタミンB群、食物繊維などが含まれますが、あまり成分的には多くありません。 しかし、なすの皮にはポリフェノールが含まれています。紫色の色素ナスニンは抗酸化作用が強いので、皮は剥かずにたべるのがお勧めです。ナスニンは強い抗酸化力があり、眼精疲労回復や動脈硬化予防に作用します。 また、皮にビタミンP(ルチン)が含まれています。ビタミンPは毛細血管を強くする働きがあります。   東洋医学(薬膳)からみた「なす」 ・清熱:体にこもった余分な熱を収める ・活血止血:血液の滞りをなくし、止血を防ぐ ・消腫止痛:利尿作用で熱っぽい腫れを解消し、痛みを止める ・祛風活絡:風寒の邪を除いて、手足のしびれや感覚異常を改善させる   体質相性 寒熱「寒」、昇降「降」 なすは、寒性で気を降ろす作用があり、冷やす性質の強い野菜です。 体の熱を外に出し、夏バテ解消の作用があります。 ・「肝陽亢盛」熱っぽくてのぼせやすい体質なので、なすは適した野菜です。 ・「気血両虚」「小児」などの胃腸の弱い方、冷え性の方には、あまり寒性のなすはお勧めできませんが、生姜を少し加えることで寒性を和らげることができます。 ・「陽虚」「妊婦」「老人」の人は、涼しくなってきてからのなす「秋ナス」は体を冷やすので控えた方がよいでしょう。   アーユルヴェーダでは ヴァータの体質の人は、なすは控えた方が良い野菜のひとつです。   秋なすのお手軽レシピ なすの揚げびたし 2人分 なす2本、油、麺つゆ大さじ1、生姜、かつおぶし ①なすは、良く洗い乱切りにして水に浸しアクをとる。 ②揚げ油を用意し、170度程度になったら水気を良くふき取ったなすを入れて短時間揚げる。 ③麺つゆを定量で希釈する。 ④揚げたなすを器に盛り付け、麺つゆをかけておろし生姜をのせる。好みでかつおぶしをかけてできあがり!     イメージ トップへ戻る   ホームへ戻る   <参考> ウィキペディア  なす https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%B9 東方栄養新書   梁こうせんかく   メディカルユーコン ... Read More | Share it now!

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秋の味覚  イチジク

イチジクは、夏の終わりから秋の初めが旬の果物です。ねっとりした優しい甘味とユニークな形が特徴です。身が柔らかく、お年寄りから子供まで食べやすい果物です。 イチジクの魅力についてお伝えします。   イチジクの名前の由来 イチジクは、とても可愛い形をしていますよね。果実の内側に多数の小花を密生した花托が大きくなって出来るのですが、この花を外から見ることが出来ないので「無花果」と呼ばれるようになりました。   イチジクの歴史 イチジクの原産地は、アラビア半島南部から西アジアです。 イチジクの歴史は古く、1万1千年以上前の新石器時代の遺跡から発見されていて、古代から人に食べられていたことがわかっています。そして、キリスト教の聖書にもよく登場していて、その頃にはもうすでに栽培されて、人々が日常的に食べていました。 日本には17世紀ごろにポルトガル人によって持ち込まれ、栽培されて食べられるようになりました。その頃の品種は今でもあるのですが、今ポピュラーなのは明治の末にアメリカから入ってきた品種です。   国内での生産 愛知県、和歌山県、兵庫県、福岡県、大阪府が主な生産地です。 ハウス物は4~8月、露地物は8月~11月頃に収穫期を迎えます。   イチジクの保存 イチジクはあまり長くは保存することは出来ません。 常温だと1~2日 冷蔵庫で3~4日ぐらいです。 身が柔らかく、傷ができやすいのでやさしくさわりましょう。 傷になっているところや果物の先端の「目」と呼ばれているところが割れていると、カビが生えたら急速に腐敗が進むので、購入したらなるべく早く食べましょう。   イチジクの栄養 イチジクは果糖、カリウム、カルシウム、食物繊維などを含んでいます。食物繊維は水溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維の両方を含んでいます。 また、生のイチジクにはタンパク質分解酵素のフィシンという成分が含まれていて、タンパク質の肉などと組み合わせた料理は、消化を助けます。いちじくと生ハムのコンビネーションは良く見かけますね。 イチジクは食物繊維の多さから、整腸作用が期待されます。 しかし、あまり多く食べすぎると、逆にお腹の調子が緩くなったり、果糖のとりすぎにもなりますのでほどほどが良いのです。   イチジクの加工品 ドライフルーツ、ジャム、コンポートなど   東洋医学から見たイチジク ・「健脾益胃」胃腸を丈夫にする ・「潤肺止咳」肺を潤し、咳を鎮める ・「解毒消腫」炎症を収めて、炎症による浮腫みを解消する   体質の相性 寒熱で見ると「平性」であり、「潤い」の性質を持っています。 「肝陽亢盛」で高血圧や糖尿病の方には、良いとされています。 もともと粘膜や肌が乾燥しがちで、目が疲れやすく口の乾く「陰虚」の方にはイチジクは潤いをもたらす果物なのでお勧めです。   イチジクのお手軽レシピ いちじくと鶏肉のサラダ 材料 2人分 イチジク2個、鶏ささみ肉50g、きゅうり1/2本、水菜1/3束、パプリカ1/4個 オリーブオイル大さじ1、バルサミコ酢大さじ1、塩コショウ ①鶏ささみ肉は、さっと茹でて、ほぐしておく。 ②野菜は良く洗い、きゅうりは輪切り、水菜は5cmくらいに切る、パプリカは千切りにする。 ③イチジクは皮を剥き、1/4に切り分ける。 ④器に野菜と鶏肉を入れて、上からイチジクを乗せる。 ⑤バルサミコ酢とオリーブオイルをかけて出来上がり。         イメージ イチジクの種のプチプチ感がたまらなく美味しいサラダです。是非試してみてくださいね。   トップへ戻る   ホームへ戻る   <参考> ウィキペディア  イチジクhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%81%E3%82%B8%E3%82%AF 東方栄養新書    梁こうせんかく   メディカルユーコン イートプリティ   ジョリーン・ハート   徳間書店   ... Read More | Share it now!

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