ビタミンD

ビタミンDは最近、色々と研究が発表されて注目のビタミンです。

以前は骨を強くするビタミンとして有名でしたが、最近では骨以外にも免疫の強化や糖尿病の予防、がんの予防などに関しての研究での良い結果が発表されています。

 

ビタミンDとは

ビタミンDはD2~D7まであります。D1は存在しません。人間にとって重要なのはビタミンD2とD3です。

ビタミンDは油に溶ける脂溶性ビタミンです。食品から摂取するほかに日に当たることで体の中でも生成されます。

ビタミンD2は主に植物性の食品のきのこや海藻から、そしてビタミンD3は動物性の食品の魚やあん肝、卵、そして日光に当たることで生成されます。

食事から体内に入ったり、日光を浴びて作られたビタミンDは小腸から脂質と一緒に吸収されて肝臓や腎臓で酵素によって活性化ビタミンDとなります。これでようやく体の中で働ける形になるのです。そして体内の各所で使われますが、使われなかった分は肝臓に貯蔵されます。

 

ビタミンDの働き

骨や歯を強くする

骨にカルシウムが必要なのは有名ですが、ビタミンDが一緒にないとカルシウムが骨になることは出来ません。ビタミンDがカルシウムの吸収を助けたり、必要によって骨からカルシウムを放出して血液中に常にカルシウムの一定量があるようにしたり、骨に沈着するようにしています。

免疫力を高める

ビタミンDは白血球をつくる助けをし、免疫力を高めてインフルエンザなどの感染症の予防になるといわれています。

がんの予防

現在、いくつかの研究で結腸直腸がんや乳がん、前立腺がんの予防に良い結果がでています。ただ、高いビタミンD血液濃度が続くと膵臓がんの発生率が高まる関連性が示唆されています。今後の研究を注意深く見ていきたいところです。

糖尿病の予防

ビタミンDは血糖を下げる働きのあるホルモン「インスリン」の分泌を高めます。糖尿病のリスクを下げるという研究も報告されています。今後の研究に期待されます。

アレルギー

ビタミンDがアレルギーを緩和すると言われています。

脳神経保護

活性型ビタミンD3は脳の中や神経でで神経細胞の保護や、増加、分化に関わっています。

うつ病の予防

米軍での研究で、ビタミンD欠乏症とうつ病の発症に関連があることが発表されています。今後の研究に期待されます。

 

ビタミンDの必要量

 

2020年の食事摂取基準で目安量が引き上げられています。

ビタミンDの食事摂取基準  (μg/日

男性女性
年齢等目安量許容上限量目安量許容上限量
0~11ヶ月5.0255.025
1~2歳5.0255.025
3~5歳3.0203.520
6~7歳4.5304.030
8~9歳5.0406.040
10~11歳6.5608.060
12~14歳8.0809.580
15~17歳9.0908.590
18~75歳8.51008.5100
妊婦・授乳婦8.5

日常生活において可能な範囲内での適度な日光浴を心がけると共に、ビタミンDの摂取については日照時間を考慮に入れることが重要である。

                                 食事摂取基準2020より抜粋

現在の日本人のビタミンD摂取量  (μg/日)              

男性女性
20~29歳5.55.2
30~39歳5.85.6
40~49歳6.24.8
50~59歳7.06.5
60~69歳8.67.5
70歳以上8.37.8

                      平成30年 国民健康・栄養調査の概要より抜粋

以前の食事摂取基準の値ではおおよそ足りていましたが、今回の改正で数値が引き上げられ、それに比較してみると、全体的に食事からは目安量よりも足りていません。食事にビタミンDの多いものを加えるとともに、日に当たることで体内でつくることも大切です。

 

日光でどのくらいビタミンD3が生成されるのでしょうか(室外で顔と両手が日光に当たっている場合)

夏:7月の良く晴れている日の昼12時ごろで5.5μgとるには

札幌(北海道) おおよそ5分、 筑波(茨城)おおよそ4分  那覇(沖縄)おおよそ3分

冬:12月の良く晴れている日の昼12時ごろで5.5μgとるには

札幌(北海道)おおよそ77分  筑波(茨城)おおよそ23分  那覇(沖縄)おおよそ8分

 

ビタミンDの過剰症

ビタミンDは必要以上に取りすぎると体内に蓄積されます。

またビタミンDの大量摂取を続けると、骨からカルシウムを血液中に引き出して高カルシウム血症になります。それにより嘔吐・下痢・食欲不振・倦怠感などの症状が起こったり、血管や内臓、筋肉にカルシウムが沈着して、腎不全や動脈硬化が起きる可能性があります。

普通の食生活では、食事から取りすぎるということはほぼありませんが、サプリメントの常時服用は取りすぎる可能性があるので気を付けましょう。

またビタミンDは強心剤などの薬との飲み合わせで、薬の効果を強めてしまう可能性があります。そのような薬を服薬中の方は、ビタミンD強化の食品やサプリメントの使用に関しては、主治医に相談しましょう。

 

ビタミンDの欠乏症

日常的に日光に当たることが少ない人、常に高い数値の日焼け止めを塗っている人、食事からの摂取が少ない人、ビタミンDを体の中で作ることが出来ない人は欠乏する可能性があります。

ビタミンDが足りていないと、くる病、骨軟化症、骨粗鬆症や、動脈硬化、免疫力低下になるリスクがあります。

食事からの摂取が十分でも肝臓や腎臓に障害がある場合は、十分な活性型ビタミンD3が得られない場合があります。

 

ビタミンDの多い食品

きくらげ、干しシイタケ、あん肝、かわはぎ、鮭、さんまなど 

 

ビタミンDを食品から効果的にとるレシピ

<鮭のソテーきのこあんかけ>

材料 2人分

生鮭2切れ、塩・コショウ、小麦粉、オリーブ油、干しシイタケ1枚、人参20g、きくらげ数個、えのき茸

②干しシイタケときくらげは水で戻しておく

③人参はせん切り、えのきは3cm程度にきり、戻した干しシイタケときくらげもせん切りにする。干しシイタケを戻した水は捨てずに取っておく。

④干しシイタケの戻し汁に水を少し加え、人参と干しシイタケを入れる。数分経ったらえのきときくらげを加えて、砂糖、みりんと醤油で味を整える。

⑤片栗粉に水を少量加えて、水溶き片栗粉にしてかき混ぜながら煮立っているキノコ汁に加える。かき混ぜながら火を少し弱めてとろみが着いたらきのこあんの出来上がり。

⑥①で下味をつけた鮭の両面に小麦粉をつける

⑦フライパンにオリーブ油を熱して、⑥の鮭を入れて中火にする。

⑧⑦の鮭がこんがりときつね色に焼けてきたら、ひっくり返してもう片面も同じように焼く。

⑨⑧の鮭が両面焼けて中まで火が通ったら器に盛り付けて、⑤のきのこあんを上からかける。

⑩上に切ったきぬさやを乗せて飾る。

 

 

ビタミンDを効果的に摂るために

ビタミンDを含む食品(魚や干しシイタケなど)を食べるとともに、一日15~20分程度は散歩をするなど太陽の下で過ごしましょう。

 

 

 

 

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<参考>

ウィキペディア  ビタミンD  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3D

厚生労働省   食事摂取基準2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#search=’%E6%A0%84%E9%A4%8A%E5%9F%BA%E6%BA%96

厚生労働省  平成30年 国民健康・栄養調査結果の概要

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000635990.pdf

国立研究開発法人 医薬基盤 健康・栄養研究所 https://hfnet.nibiohn.go.jp/

食べて治す 最新栄養成分事典 中嶋洋子 蒲原聖可  主婦の友社

愛知県薬剤師会 医薬品との併用に注意のいる健康食品 https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3755.html