日本のオーガニック基準

近年では、世界的にオーガニックの商品が見直されてきています。なぜこの流れが起きてきているのでしょうか?

 

オーガニックとは

オーガニックは「有機物」という意味を持ちます。有機物と無機物は反対語なのですが、無機物に無くて有機物にあるものと言えば「炭素」です。生物には基本的に炭素があります。つまり、焦げたり腐ったりするものです。そして農業で言えば、土に使う肥料がたい肥(動物の糞)であれば、炭素を含んでいます。それに対して化学肥料は、鉱物などの無機質な物質に人工的な窒素を加えたものから作られます。

自然の土にはものすごい数の微生物が住んでいて、落ち葉や動物の糞など有機物を分解しその土地を豊かにしています。その活動がないと土は死んでしまい、なにも育たなくなります。その生きた土を使って育つ野菜や果物が有機野菜・果物とよばれています。

地球上ではその微生物が分解者として、生き物の営みの食物連鎖の下位にいます。生命の営みのサイクルに大切な存在です。

化学的なものを使っていないということだけでなく、大きな意味でいうと、オーガックとは自然の営みに沿った形でつくられる物のことです。

 

日本の食品流通の背景

人類の長い歴史の中、ずっと有機栽培が続けられてきましたが、この100年くらいの近代化の流れに伴って、化学肥料や農薬を使って育った野菜や果物が登場しました。収穫の効率が良く、人件費が少なくてすみ、見た目にも美しい野菜や果物が出来上がります。そしてその流れが一般的になり、今に至るのです。

これは生産者だけではなく、選ぶ消費者の意識でもあり、消費者が安く美しいものを求めると必然的にそういう流れが助長していきました。

野菜や果物に限らず、肉や卵、魚、穀類、加工品など私たちが食べる食品全てにおいて、当てはまります。そして知らず知らずのうちに、食材に残留している農薬、肉の飼料に含まれる薬品や抗生物質、食品添加物などの薬品を私たちの体内に少しずつ取り込んでいますその体内に入った薬剤は、体内に留まり蓄積されることも気になります。

たしかに有機生産は手間がかかる上に生産量が減るなどということがあったり、色々なことに配慮しなければいけないので生産者の方は大変です。そのため、農薬を使ったものよりも割高になってしまうのです。生産者だけではなく、消費者も普段買う食材について考える必要があります。

 

日本の有機食品(オーガニック食品)の基準

 

日本では「有機」または「オーガニック」と表示するには、登録認定機関の検査を受けて有機JAS認定を取得する必要があります。有機JASマーク

有機JAS認定を受けるために必要な条件(主なポイント)

<農産物>

・種まきや植え付けの2年以上前から、化学肥料や農薬に頼らない土づくりを行う。(多年生植物の場合は3年以上)

・栽培期間中は化学肥料や農薬を使用しない。

・収穫後も化学物質に汚染されたり、有機では無い食品と混ざらないように管理する。

・遺伝子組み換え種苗はしようしないこと   など

<畜産物>

・飼料は主に有機飼料を与えること。

・野外への放牧など、ストレスを与えずに飼育すること。

・抗生物質を病気予防の目的で与えないこと。

・遺伝子組み換え技術を使用しないこと。  など

<加工品>

・化学的に合成された添加物や薬剤の使用は極力避けること。

・原材料は水と食塩を除いて、95%以上が有機農産物、有機畜産物、有機加工品であること。

・薬剤により汚染されないように管理された工場で製造を行うこと。

・遺伝子組み換え技術を使用しないこと。など

この認定を受けた後は年に1度の検査を受けなければいけません。

~農林水産省 有機食品の検査認証制度 より~

 

ただ、有機JASが付いている商品でも、放射線物質の検査は含まれていません。

 

外国の有機食品(オーガニック食品)の輸入品について

 

各国のオーガニックについての基準はそれぞれ違います。

ヨーロッパやアメリカなど、日本よりも厳しい基準が設けられている国が多くあります。

最近、日本でも外国から輸入されたオーガニック食品について、一部の国からの分は有機JASの認定が可能になりました。

アメリカ、カナダ、オーストラリア、スイスからの畜産物については「有機同等性」という取り決めで有機JASの表示が必要になったのです。対象となるのは、肉、卵、牛乳、チーズとその加工品などが含まれます。

日本ではまだ生産量も消費量も少ないのですが、ヨーロッパ各国やアメリカ、オーストラリアでは消費者の需要の高まりに伴い、オーガニック食品の生産、消費は進んでいます。中国でも最近、オーガニック生産に力を入れ始めています。

有機栽培や畜産方法は、将来的にも地球の自然のサイクルを壊さない持続可能な製法でもあります。

まずは消費者が普段買う食材についてしっかりと考えて、行動することが未来につながっていきます。

 

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<参考>

農林水産省  有機食品の検査認証制度 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/yuuki-87.pdf