タンパク質 

タンパク質とは?

タンパク質はアミノ酸が結合した化合物で、私たちの体を構成している物質です。

体の中では水分の次に多い成分です。プロテインとしても知られています。筋肉や内臓、血液などに多く入っています。その他、ホルモンや酵素などの材料でもあります。またタンパク質は1g4㎉でエネルギー源としても使われます。

体の中では常に新陳代謝が行われていて、古い細胞の入れ替えや傷の修復などに使う材料となるアミノ酸が必要です。つまりアミノ酸の集合体であるタンパク質を食事の中で摂って、消化・吸収され、必要なものに合成されるのです。タンパク質を体の中で効率よく使うには、必要な分をバランス良く食べることが必要です。

かといって、バランスよくとるために、その都度どの食品にアミノ酸がどれくらい入っているか調べるのも大変ですよね。

でも質の良いタンパク質をバランス良くとることが出来る方法があるのです。   

 

タンパク質のアミノ酸の種類

タンパク質はアミノ酸が多数結合することで出来ていて、人間の体には20種類のアミノ酸が必要です。

その20種類には体の中で作ることのできる「非必須アミノ酸」と体の中で作ることのできない「必須アミノ酸」があります。

<必須アミノ酸>

バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン、ヒスチジン

<非必須アミノ酸>

アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン

 

アミノ酸スコアとは

アミノ酸バランスが良いものを食べるために「アミノ酸スコア」というものがあります。

アミノ酸スコアというのは、食品の中に必須アミノ酸がどのくらいバランスよく含まれているかという指標です。タンパク源の食材の質をみるものです。特定のタンパク質を合成するためには、それに必要な全ての材料、つまり必要なアミノ酸を揃えなくてはいけません。ひとつでも欠けると作ることが出来ないのです。

アミノ酸スコアは必須アミノ酸のバランスが良いものを100とし、必要なアミノ酸が少ないものは数値が下がっていくのです。アミノ酸スコアの良い食品を食べることが、体の中で効率的にタンパク質を使える良い方法です。

アミノ酸スコア 

肉 100               

魚 100

卵 100

牛乳 100

大豆 100                          

小豆 91

グリンピース 84

精白米 65

ブロッコリー 85

食パン 42

動物性の肉・魚・卵・大豆や大豆製品などがアミノ酸スコアが良い食品の代表です。動物性と植物性の両方からタンパク質を1:1のバランスでとることが理想と言われています。

動物性食品からばかりタンパク質を摂っていると、他の栄養素の偏りが生じやすくなります。例えば肉類だと脂の摂りすぎになります。逆に植物性食品の大豆や他の豆類の中にはタンパク質ばかりではなく、食物繊維、ビタミン・ミネラルやポリフェノールなどが含まれています。他の栄養素も合わせて一緒にとることができて効果的です。

メニューを考える時にはそのようなことも考慮しながら、材料を揃えると良いでしょう。

 

たんぱく質を体内で効率的に使うために

タンパク質を体内で使うには必ずビタミンB6が必要です。合わせて摂ることで、より効率的にタンパク質が利用されやすくなります。それに代謝に必要なエネルギーも一緒に摂りましょう。

ビタミンB6を含む食品

まぐろ・かつお・レバー・さんま・鶏肉など

 

タンパク質の働き

人間の体の約20%を占めるタンパク質は筋肉や皮膚、内臓、髪の毛、血液など体のあらゆる部分の構成成分の原料になります。他に消化器官や脳神経の機能をサポートするホルモンや代謝に欠かせない酵素、病気と闘う免疫物質をつくる原料でもあります。体を動かすエネルギー源にもなります。

タンパク質は体の中に貯蔵庫がないので、必要な分は常に補給が必要です。多く摂りすぎるのも良くありません。

 

一日当たり たんぱく質の必要量(成人男女)

性別男性女性
年齢(歳)推定平均必要量推奨量目標量※1推定平均必要量推奨量目標量※1
18~4950g65g13~20%40g50g13~20%
50~6450g65g14~20%40g50g14~20%
65以上※250g60g15~20%40g50g15~20%
※1 範囲に関しては、おおむねの値を示したものであり、弾力的に運用すること。目標量はエネルギー摂取量に対しての割合を示す。
※2  65 歳以上の高齢者について、フレイル予防を目的とした量を定めることは難しいが、身長・体重が 参照体位に比べて小さい者や、特に 75 歳以上であって加齢に伴い身体活動量が大きく低下した者な ど、必要エネルギー摂取量が低い者では、下限が推奨量を下回る場合があり得る。この場合でも、下 限は推奨量以上とすることが望ましい。

妊婦・授乳婦は付加が必要です。

日本人の食事摂取基準2020より抜粋

 

タンパク質は適量に限る

2020年に改正となった日本人の食事摂取基準での必要量は上記の表の通りです。

でもタンパク質って本当はどれぐらい必要なの?と思いますよね。タンパク質の必要量は実は一人ひとり違います。例えば筋肉量がどのくらいなのか、何歳なのか、何か病気にかかっていないか、アスリートなのか、妊娠中なのか等々。

一般的に日本人の成人で仕事はデスクワーク中心、大きな病気やけががなく、時々運動をするぐらいの運動量の人の必要量は、平均で男性で一日50~65g、女性で1日40~50gです。この量を食事からとる目安としては、1日3食の食事の中で毎食にメインのおかずとして卵、肉、魚、大豆製品、牛乳などを組み合わせていくと大体は摂ることが出来ます。その日によって、多少誤差があっても大丈夫です。

つまり毎食メイン料理にタンパク質のおかずを入れることが適量をとる目安になります。年齢や性別でメインのおかずの大きさや量を調整しましょう。

<中年サラリーマン男性  デスクワーク 体重65kgぐらいの方の1日例>

朝食

ご飯、野菜スープ、卵焼きブロッコリーとトマトとチーズのサラダ、バナナ、ヨーグルト   

昼食

チキン照り焼きバーガー、ツナサラダ、カフェオレ(牛乳

夕食

ご飯、味噌汁(豆腐・わかめ)、刺身盛り合わせ120g程度、根菜の煮つけ

タンパク質は摂り過ぎに注意

タンパク質を摂りすぎると体の脂肪に変換されて脂肪細胞に蓄えられたり、外に排出されます。

タンパク質を摂りすぎると腎臓の負担が増えます。タンパク質は摂りすぎても体内に取っておくことはできません。使われなかったアミノ酸は分解されアンモニアとなり、体外に出すために無毒化され、水にとける尿素となって、腎臓を通り尿として排出されます。腎臓にはとても負担が大きいのです。

またタンパク質を多く食べすぎると尿酸が増えます。尿酸が増えると血液が酸性化するので、それを中和するためにカルシウムを多く使います。カルシウムの摂取は日本人は足りていない人が多いです。もし余分なカルシウムがない場合には、骨からカルシウムを引き出して血液を中和するので、骨のカルシウムが不足して骨粗鬆症になりやすくなります。

通常の食事からのタンパク質の過度の摂りすぎはあまり多くはないですが、糖質制限でタンパク質を多く食べるダイエットをしている人、プロテインを良く飲む人は注意が必要です。

 

タンパク質が足りない場合はどんなことが起こるのか?

タンパク質が足りないと筋肉や肌、髪の毛の再生が遅くなったり、骨量が低下します。また免疫力も低下します。子供の場合は成長不良に成人・高齢者の場合は低栄養になります。貧血、活力の低下、倦怠感、代謝の低下、傷の治りが遅くなる等のことが起こります。若い女性のタンパク質不足の低栄養は生殖機能にも影響があります。

 

<まとめ>

タンパク質は多すぎず少なすぎず、毎日の食事にバランス良く、質の良いものをとり入れたいですね。

 

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<参考>

よくわかる栄養学の基本としくみ  中島 豊 秀和システム

安全においしく食べるためのあたらしい栄養学 吉田企世子 松田早苗  高橋書店

わかさ生活 わかさの秘密 http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/protein/

厚生労働省  日本人の食事摂取基準2020  https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#search=’%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E6%91%82%E5%8F%96%E5%9F%BA%E6%BA%962020′