カリウム(K)

カリウムは、体の中の塩分や血圧などと関係があるミネラルです。血圧が高めの方は必見です。

 

カリウムとは

カリウムは元素番号19のミネラルです。私たちの体内の細胞内液に、一番多く含まれるミネラルです。成人の体内に約120~200g存在します。細胞にはカリウム・ナトリウムポンプというシステムがあって、細胞内に入ってきたナトリウムを汲み出し、カリウムを入れることでバランスをとっています。これによって血圧を調整しています。そのため塩分摂取量の多い傾向のある日本人には、とても大切なミネラルです。

また、体内の水分のコントロールや、筋肉の動きをサポートします。体内の余分な水分を外に出す働きがあり、むくみもとってくれるのです。

体内に吸収されたカリウムは、体に必要な一定量以上は尿や汗などから排出されます。利尿剤を服薬している人、発汗の量が多い人、アルコールやコーヒーやお茶など、利尿作用の強いものを多く飲む人は不足しないよう意識することが必要です。

しかし腎臓病がある人は腎臓から排泄することができず、カリウムの量を制限される場合があります。

特に体からカリウムを出しにくい人は、カリウムは多すぎても少なすぎても良くありません。高カリウム血症では、不整脈を起こし突然死することさえあるのです。

カリウムは熱に弱く水に溶けやすいため、調理方法によっては不足しがちです。30%ぐらいは水に出てしまうと言われています。

ゆで汁も一緒にとれるような汁物などの料理だと、カリウムを有効に摂ることができます。逆にカリウムの制限がある人は煮汁は捨てましょう。

 

カリウムの働き

体内の水分量の調整をする

カリウム・ナトリウムポンプによって、細胞内外の水分量の調整もしています。

ナトリウムと逆の働きをするので、むくみとなる余分な水分を外に尿として排出する働きがあります。

血圧の調整をする

カリウムとナトリウムは、互いに逆の働きをしてバランスをとっています。近年では、ナトリウムの摂りすぎが気になるところですが、カリウムを摂ることで余分なナトリウムを排出させます。つまり、塩分をとって血圧が上がる仕組みというのが、血中のナトリウムが増加することで、それを薄めるために細胞内の水分が血中に出るのです。そして血液量が増えて、血圧が上がるのです。また、カリウムは細胞内のカルシウムを低下させて血管の収縮が抑制されたり、ノルアドレナリンの分泌を抑制させ血管の収縮が抑制されることにつながるのです。

筋肉を動かす

筋肉を動かす一連の流れの中で、ナトリウムとカリウムが、筋肉細胞に電位変化を起こすことで正常に筋肉の収縮が起こり、筋肉が動くのです。

 

カリウムの必要量

カリウムの摂取目安量 成人男性2500㎎  成人女性2000

カリウムの目標量 成人男性3000㎎以上 成人女性 2600㎎以上

高血圧予防をする場合は3500

年齢・性別別は下記の表の通り

mg/日

男性

女性

目安量

目標量目安量目標量
0~5ヶ月400
400

6~11ヶ月

700
700
1~2歳900

900


3~5歳

10001400以上10001400以上
6~7歳13001800以上1300

1800以上

8~9歳

15002000以上15002000以上
10~11歳18002200以上1800

2000以上

12~14歳

23002400以上19002400以上
15~17歳27003000以上2000

2600以上

18~29歳

25003000以上20002600以上
30~49歳25003000以上2000

2600以上

50~64歳

25003000以上20002600以上
65~74歳25003000以上2000

2600以上

75歳以上

25003000以上20002600以上
妊婦

2000

2600以上

授乳婦



2200

2600以上

日本人の食事摂取基準2020より抜粋

カリウムの過剰症

カリウムは健常な人であれば、多くとった分は尿から排出されるので問題はありません。ただ腎臓病の人はカリウムを外に出すことが出来ずに、体内に溜まってしまう場合があります。その場合は、主治医よりカリウムの量の制限があります。高カリウム血症になると、脱力感・しびれ・徐脈・不整脈・心停止になる可能性があります。心臓病の人もカリウムの制限がされる場合があります。また、腸管出血のある人や鎌状血球症の人は摂りすぎないように注意が必要です。

 

カリウムの欠乏症

塩分を多く摂る食生活の人が多いので、ナトリウムに比べて比較的カリウムが不足している人が多いと言われています。また野菜不足だと、カリウムが足りなくなります。カリウムが足りないと高血圧になりやすくなったりむくみやすくなったり筋肉を動かす時に違和感があるかもしれません。
また低カリウム血症になってしまった場合は、脱力感・食欲不振・筋無力症、不整脈・頻脈・精神障害の症状が現れる可能性があります。

 

カリウムと薬の関係

・ACE阻害剤、アンジオテンシン受容体ブロッカー、カリウム保持性利尿剤との併用はカリウム濃度が上昇して、高カリウム血症を起こす可能性があります。

・ループ利尿剤・サイアザイド系利尿剤・峻下剤・アミノ酸糖体などの抗生物質・アンホテリンB・フルコナゾール、ステロイド剤、レボドバなどの医薬品もカリウム濃度に影響を与えることがあります。

・β-2作動薬は低カリウム血症を引き起こすことがあります。

 

カリウムを多く含む食品

ほうれん草、春菊、アボカド、長いも、サツマイモ、バナナ、昆布、さわら、マグロ切り干し大根など

    

 

カリウムを効果的にとるレシピ

<マグロとアボカドのポキ>

材料 2人分
マグロ赤身角切り200g、熟したアボカド1個、玉ねぎ30g、あさつき10g、細切り昆布10g、ごま油、醤油、白ごま 少々

①アボカドは半分に包丁を入れて、種と皮を剥いて角切りに切る。アサツキは小口切りにする。

②細切り昆布は水で戻し3cmくらいに切っておく。玉ねぎはスライスにする。

③マグロ赤身の角切りと準備したアボカドとアサツキ、細切り昆布と玉ねぎを醤油、ごま油、白ごまも入れて良くなじむまで和えて、出来上がり。

 

 

 

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<参考>

厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#search=’%E6%A0%84%E9%A4%8A%E5%9F%BA%E6%BA%96

国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail575.html

栄養素図鑑   牧野直子    新星出版社

よくわかる栄養学の基本としくみ  中屋豊  秀和システム