リン (P)

リンも骨や歯に必要なミネラルです。カルシウムとのバランスが大切です。

リンとは

リンは原子番号15の物質で、体内では2番目に多いミネラルです。体重の約1%存在しています。換算すると成人男性で、おおよそ700~800gほどになります。その85%が骨や歯の構成成分として、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムという形で存在します。残りの15%は体のあらゆる細胞と細胞外液に含まれています。リンは細胞内では核酸やATPの構成元素であり、また細胞膜の構成成分のリン脂質の材料にもなります。

食品に含まれるリンは十二指腸や腸管で吸収され、吸収率はおおよそ60~70%です。

吸収はビタミンDによって促進され、カルシウム・マグネシウムに抑制される性質があります。甲状腺ホルモンが、腎臓からの再吸収や骨からの出し入れに関わっています。

体の中では骨や歯の基本構成として欠かせないミネラルであり、そのほかにエネルギーの産生や代謝に多く関わっています。

リンはカルシウムと共に働くことが多いので、カルシウムとのバランスを摂ることが大切です。その比率は1:1で同量必要なのです。

近年の食生活ではリンが入っているものが多く、カルシウムとのバランスが崩れやすいので、摂りすぎないようにすることが必要です。

リンの働き

骨や歯を健康に保つ

カルシウム・マグネシウムと共に、骨や歯の構成成分になっています。骨や歯は毎日少しずつ壊され、作り直すという新陳代謝を行っていますので、材料となるカルシウム・マグネシウム・リンを、バランス良く摂ることが骨や歯を健康に保つうえで大切です。

エネルギー産生

リンはエネルギーとして使われるATP(アデノシン三リン酸)の構成成分で、エネルギーを産生するためには欠かせないミネラルです。

核酸や細胞膜をつくる

リンは核酸(DNA・RNA)の構成成分であり、細胞膜のリン脂質の構成成分でもあります。細胞分裂や新しい細胞を作る時にも欠かせません。

体内の浸透圧の調整

酸とアルカリのバランスの維持や浸透圧を保つことも行っています。

神経伝達を正しく働かせる

リンは神経細胞が正常に働くよう助けています。

 

リンの必要量

(㎎/日)

男性

女性
目安量耐容上限量目安量

耐容上限量

0~5ヶ月

120
120
6~11ヶ月260

260


1~2歳

500
500

3~5歳

700
700
6~7歳900

800


8~9歳

1000
1000
10~11歳1100

1000


12~14歳

1200
1000
15~17歳1200

900


18~29歳

100030008003000
30~49歳10003000800

3000

50~64歳

100030008003000
65~74歳10003000800

3000

75歳以上

100030008003000
妊婦

800

授乳婦



800


日本人の食事摂取基準2020より抜粋

リンの過剰症

リンは近年とりすぎが問題になっています。多くの加工品に食品添加物として使われる各種リン酸塩が摂取量を増やしてしまっているのです。そのため、カルシウムとのバランスが悪くカルシウムの吸収も邪魔してしまうので、結果として骨を弱くしてしまうのです。また腎臓にも負担をかけ腎機能を低下させたり、甲状腺・副甲状腺ホルモンの分泌が落ちるなどの影響があります。

もともと腎機能の低下がある人は、リンを体外に適切に出すことが出来ず、血液中のリンの濃度が上がりますので要注意です。

リンの欠乏症

リンの欠乏症は普通の生活状況ではほぼありませんが、ビタミンDの不足副甲状腺ホルモンの分泌低下などから、欠乏することがあります。脱力感、筋力低下、溶血などの症状が現れます。

リンを多く含む食品(添加物を除く)

うなぎ、かつお、牛乳、ハム、肉類、玄米、卵、チーズなど
   

リンと薬の関係

特に報告はされていません。

リン・カルシウムをバランス良くとるレシピ

<焼き厚揚げ> 

材料2人分

厚揚げ1丁、長ネギ10g、かつお節10g、醤油

①厚揚げを油抜きして冷ましておく。長ネギを小口切りにする。

②厚揚げをオーブントースターかオーブンで5分ほど焼く。

③焼いた厚揚げを食べやすい大きさに切って、皿に盛り付ける。

④③の上にねぎかつお節を乗せて、出来上がり!

好みで醤油をかけたり、ちりめんじゃこをかけても美味しいです。お酒のおつまみにも。

 

 

 

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<参考>

厚生労働省  日本人の食事摂取基準2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#search=’%E6%A0%84%E9%A4%8A%E5%9F%BA%E6%BA%96

国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail596lite.html

栄養素図鑑    牧野直子   新星出版社

よくわかる栄養学の基本としくみ  中屋豊 秀和システム

安全においしく食べるためのあたらしい栄養学 吉田企世子 松田早苗 高橋書店

健康長寿ネット  リンの働きと一日の摂取量https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-p.html