ヨウ素

ヨウ素は、甲状腺の働きに関連のあるミネラルです。

 

ヨウ素とは

ヨウ素は、元素番号53でヨードとも言われます。うがい薬や消毒薬としても使われる物質です。海のミネラルとも言われ、海藻に多く含まれます。ヒトの体の中で、甲状腺から出る甲状腺ホルモンの原料になります。体内には10~20g存在します。そのうち70~80%は甲状腺に存在しています。

食べ物に含まれるヨウ素の吸収率はとても高く、摂取量のほぼ全量が吸収されます。

 

甲状腺とは

甲状腺は首の前面にあり、喉仏のすぐ下の4㎝大程の大きさの器官です。

体全体の新陳代謝に欠かせません。甲状腺ホルモンを出して、体全体の調整をしているのです。このホルモンがなければ、1~2ヶ月ほどしか生きられません。

甲状腺ホルモンは、エネルギー産生、糖・タンパク質・脂質の代謝、脈拍、体温の調整など、身体の調整の広い範囲を行っています。

 

ヨウ素の働き

・甲状腺ホルモンの原料となり、体の代謝に関わる

甲状腺ホルモンが血液に入り、各細胞に届けられて、体内の代謝を活発化させます。交感神経を活発にし、脈拍や体温などの調整、エネルギーを作って体を動かしたり、糖・タンパク質・脂肪などの代謝を助けて、調子良く生活できるようにしています。

慢性的にヨウ素が足りないと甲状腺刺激ホルモンの分泌亢進、甲状腺の異常肥大、甲状腺炎などを起こし、甲状腺の機能を低下させます。

甲状腺機能低下症になると、甲状腺ホルモンが十分に出なくなります。その結果、全身の代謝の低下が起こり、体重の増加、低体温、徐脈、浮腫、脱毛、記憶障害、疲れやすくなるなどの多岐に渡った症状がでます。

・成長を促す

成長期にには甲状腺ホルモンが重要な役割を果たしているので、成長に支障が生じ発達障害が起こる可能性があります。

また、妊娠中に足りないと胎児が胎児甲状腺機能低下症になり、精神遅延などの障害がでることがあります。

 

ヨウ素の摂取基準

 (μg/日)

男性

女性

必要量

推奨量目安量上限量必要量推奨量目安量上限量

0~5ヶ月

100250100250
6~11ヶ月130250130

250

1~2歳

35503003550300
3~5歳45604004560

400

6~7歳

55755505575550
8~9歳65907006590

700

10~11歳

8011090080110900
12~14歳95140200095140

2000

15~17歳

10014030001001403000
18~75歳95130300095130

3000

妊婦(付加量)

+75+110
授乳婦(付加量)+100

+140

    日本人の食事摂取基準2020より抜粋

 

ヨウ素の過剰症

ヨウ素は、多すぎても少なすぎても良くないのです。多すぎると甲状腺腫を引き起こします。

 

ヨウ素の欠乏症

日本人は海藻を食べる習慣があるので、欠乏症になることは、あまりありません。

ヨウ素が欠乏しても甲状腺腫になります。

それに甲状腺機能低下の恐れがあります。

 

ヨウ素と薬の関係

・アミドオダロン(不整脈治療薬)は、ヨウ素サプリメントとの併用でヨウ素の血漿濃度が上昇することがあります。

・ACE阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗薬、カリウム保持性利尿剤は、ヨウ素カリウムとの併用で、高カリウム血症を起こすことがあります。

・甲状腺機能不全の人は、ヨウ素を長期や多量に使用すると、甲状腺肥大、甲状腺腫、甲状腺機能低下が増悪する恐れがあります。

 

 

ヨウ素を多く含む食品

昆布、わかめ、ひじき、さばなど

   

 

ヨウ素を効果的にとるために

・ヨウ素を多く含む食品を料理にとり入れる

・昆布出汁を煮物や汁物に使う

・とろろ昆布や塩昆布、昆布茶を料理に使うことでも、手軽にヨウ素がとれます。

 

ヨウ素を効果的にとるレシピ

すき昆布の煮つけ

すき昆布20g、人参30g、がんもどき1個、砂糖小さじ1、醤油大さじ1、油

①すき昆布は水で戻しておく。

②人参、せん切りに切る。

③がんもどきは一口大に切る。

④鍋に油を入れて熱し、人参、すき昆布を入れて炒める。

⑤水を100ml入れて砂糖を入れ、がんもどきも加える。

⑥しばらくしたら、醤油を入れて弱火にする。

⑦水分が半分ぐらいになって、味がなじんだら出来上がり。

 

 

 

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<参考>

日本人の食事摂取基準  2020 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#search=’%E6%A0%84%E9%A4%8A%E5%9F%BA%E6%BA%96′

国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail595.html

栄養素図鑑   牧野直子   新星出版社

臨床栄養ディクショナリー  大池敦子 武田ひとみ 田中俊治  メディカ出版