塩素 (Cl)

塩素(クロール)は食塩にも入っています。

 

塩素とは

塩素は原子番号17番のミネラルです。私たちは普段、食塩という形で少量、塩素を体にとり入れています。食塩はナトリウムと塩素の結合した形の「塩化ナトリウム」で合成されています。その他、水道水にも少量入っています。

体内では、細胞内液中に30%、細胞外液中に70%含まれています。血液中の陰イオンの中では一番多い成分です。現代の食文化では、塩分の摂り過ぎていることで、ナトリウムと共に塩素も摂りすぎの傾向があります。

 

塩素は水に溶解した形の次亜塩素酸として、消毒剤や漂白剤としても使われています。この形になると殺菌作用は強力で、直接触ると皮膚が荒れたり、酸性洗剤と合わせると有毒ガスが生じるため取り扱いに注意が必要です。直接手で触れたり、口にすることは絶対にしないようにしてください。また直接吸引するのも危険です。

 

体内での塩素の働き

・酸・アルカリバランスの調整を行う

体内では塩素イオンCl⁻と炭酸HCO3⁻の比率を調整することで血液中のpHを一定にしています。Cl⁻が増えて、HCO3⁻が減ると酸性になり、HCO3⁻が増えてCl⁻が減るとアルカリ性になります。

胃酸の原料になる

塩素の大きな役割は、胃酸を作る時の構成成分となることです。胃の壁細胞から塩素が分泌されることで胃の中を強い塩酸にします。そして食品の中に存在する細菌をある程度殺菌しています。またタンパク質分解酵素のペプシンなどの働きを助けて、消化を促進します。それに膵臓から膵液の分泌促進もしています。

粘液をつくる補助をする

私たちの気道・消化管には「クロライドチャネル」と呼ばれる体液の分泌のメカニズムがあります。まず最初にそのメカニズムに関与するのが塩素のクロールイオンで水の流れを作ります。それから粘液ができて、細胞を外からの刺激から守っています。

浸透圧の調整を行う

塩素はナトリウムと共に、浸透圧の調整も行っています。

二酸化炭素の回収の補助をする

塩素は赤血球にも存在します。そして全身の二酸化炭素を回収するときにも役立っています。

 

塩素の必要量 

塩素の食事摂取基準は、明示されていません。

 

塩素の過剰症

塩素は取りすぎると尿で排泄されるため、過剰症はほぼありません。

ただ継続的に摂取量が多いと、腎血管抵抗を増大させて腎臓に負担がかかります。

 

塩素の欠乏症

現代社会の食生活では塩分が摂り過ぎの傾向があり、塩素は食塩に含まれているので、欠乏症を起こすことはほとんどありません。ただ嘔吐を繰り返すときには、胃酸が一緒に出てしまうので一時的に塩素が不足します。その際には、生理食塩水の点滴が行われて補給されます。

 

塩素を多く含む食品

食塩、塩を多く含む食品、水道水(水道水は水道法で塩素の残留濃度が0.1㎎/ℓ以上と定められています。)

食塩は摂り過ぎないように心がけましょう。

 

塩分のとりすぎを予防する美味しいレシピ

<鶏肉のカレーハーブ焼き>

鶏もも肉200g、白ワイン小さじ1(なければ日本酒)、コショウ少々、カレー粉少々、タイム(乾)、ローズマリー(乾)、オリーブオイル、クレソン(飾り用)

①鶏もも肉に白ワイン、コショウ・タイム・ローズマリーを振って下味をつける。さらにカレー粉を適量振りかける。

②フライパンにオリーブオイルを熱し、鶏もも肉を入れて中火にして蓋をする。

③半分くらい火が通ったら、鶏肉をひっくり返してもう片面も焼く。

④皿に焼きあがった鶏肉とクレソンを乗せて出来上がり。

塩分が無くても、カレー粉とハーブの香りで美味しく食べられます!

イメージ

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<参考>

国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail614.html

安全においしく食べるためのあたらしい栄養学  吉田企世子 松田早苗  高橋書店

よくわかる栄養学の基本としくみ  中屋豊  秀和システム

臨床栄養ディクショナリー 山本みどり  佐々木公子  大池教子  メディカ出版