マクロビオティック

マクロビオティックとは

マクロビオティックとは、日本人の桜沢如一氏の考案した食事法です。陰陽論を中心とした展開で、「身土不二」、「陰陽調和」、「一物全体」という哲学の思想をもとにつくられています。1928年に桜沢氏の行った講習会からマクロビオティックの運動が始まったと言われています。世界に向けても民間運動が続き、世界中に広く普及していきました。現在は様々な分派が存在しますが、基本となる思想は同じであるとされています。他の呼称に玄米菜食・穀物菜食・自然食・食養・正食などがあります。マドンナなど著名人が実践していたことも有名ですね。

マクロビオティックの語源は古代ギリシャ語「マクロビクス」からきていて、健康による長寿、偉大な生命という意味です。マクロ(大きな)、バイオ(生命)、テック(技術)という、生命を大きな視点で捉え自然と一体化した考えであるということです。

マクロビオティックの基盤となる思想は、明治時代の医師の石塚左玄氏の食物の陰陽論からきています。中医学の陰陽とは違うもので、ナトリウムとカリウムを陰陽のバランスとしたものです。ナトリウムが多いのは動物性食品、カリウムが多いのは植物性、中間に玄米があり調和良く食べるというものです。

その後、桜沢氏が食品を「陰性」「中庸」「陽性」に分類しました。

また、陰は拡散する遠心的なエネルギー陽は収縮する求心的なエネルギーですが、常に動いていて変化しています。双方の力が釣り合ってバランスが取れることが良いとされています。

身土不二とは、体は生まれ育った土地からは切り離すことは出来ないということで、その土地にその季節に出来るものを食べるという考えです。同じ環境で育ったものを体に取り入れることで、調和を取っていくのです。

一物全体は、生命体は全体において調和しているのだから、全体を食べるという考えです。つまり刺身や野菜の皮を剥いたり、精製した白米や砂糖などのように、全体ではなく部分で食べることは調和が崩れ、多病千弱になるいうことです。実際、穀類の皮や胚芽などの精製すると捨てられてしまう部分には、ビタミンやミネラル、食物繊維の宝庫であり、捨ててしまうのは実にもったいないのです。野菜も皮に多くのビタミンやミネラル、ポリフェノール類や食物繊維が多く含まれています。

マクロビオティックの食事の内容

内容は玄米、全粒粉を主食にし、豆類、野菜、海藻、塩を中心として組み立てられた食事です。陰陽論をもとに食品や調理法のバランスを考えて組み合わせていきます。

何をどう食べたら良いかは、人類が進化する過程で出来た歯の構成を手掛かりに考えられています。
人間の歯は32本あります。そのうち穀類をつぶす臼歯が20本、野菜をかみ切る切歯が8本、肉や魚を食べるための犬歯が4本です。その割合を考えると、穀類60%、野菜25%、肉や魚の動物性食品15%程度となります。
それを基に考えられた構成が、主食となる穀類40~60%、野菜やいも類20~30%、豆類やその加工品、海藻5~10%、油少々です。あとの残りで、たまに果物、ナッツ類、魚介類、菓子となります。あと必要である時には動物性食品となります。

イメージとしては、毎日の食事が日本の伝統的な食事、ご飯・味噌汁・豆や野菜、海藻のおかずで、時々小魚、果物、菓子などを楽しむ形です。

 

マクロビオティックの食事の基本的な考え方

「一物全体」「身土不二」「陰陽調和」の理念を基本とする。

・主食は、玄米や穀類、全粒粉の小麦製品などにする。主食の割合は50%以上とする。

・副食は野菜、穀類、豆類などの農産物や海藻とし、できるだけ有機農産物や自然農法によるものを使用する。

・野菜の皮や根は取り除かず、一つの食品は丸ごと全て食べる。

・食品のアクは取り除かない。

・砂糖を使用しないで、甘味料は米飴、甘酒、甜菜糖、メープルシロップとする。

・基本的には肉類や卵、乳製品の動物性食品は使用しない。ただし、卵は病気回復に使用される場合がある。

・大型の魚は食べない。白身の魚や人の手で捕れる小魚は、少量であれば食べても良い。(厳格派は使用しない)

・鰹節や煮干し出汁、旨味調味料は使わない。昆布だしや椎茸だしにする。

・天然由来の調味料を使う。塩はにがりを含んだ自然の塩を使う。

・なるべく近隣の地域で収穫された、季節ごとの食材を食べる。

・コーヒーは体を冷やすので避ける。

 

マクロビオティック食の陰陽の分類

陰性

食品:牛乳、豆腐、豆乳、じゃが芋、みかん類、トマト、茄子、きゅうり、ほうれん草、白砂糖、精白小麦粉、酢、植物油、熱帯性果実、他カリウムの多い食品

:えぐみ、辛み、酸味

調理法:生食、茹でる

料理例:生野菜サラダ、冷ややっこ、夏野菜の煮物、おかゆ、浅漬け、けんちん汁

 

中庸

食品:玄米、海藻、丸麦、本葛粉、人参、かぼちゃ、たまねぎ、ごぼう、レンコン、くるみ、アーモンドなど

:甘味(旨味)

調理法:炊く、煮る、蒸す

料理例:ご飯、豆腐ステーキ、野菜炒め、お汁粉

 

陽性

食品:卵、肉類、魚介類、ひえ、十割そば、塩、醤油、味噌などナトリウムの多い食品

:渋み、苦み、塩辛さ

調理法:焼く、炒める、揚げる、黒焼き

料理例:レンコンとごぼうのきんぴら、かぼちゃのコロッケ、チャーハン、こんぶの佃煮

 

医学的な評価

2015年の調査では、マクロビオティックの食事法はビタミンD、カルシウム、ビタミンB12を除き、推奨栄養所要量を満たしているとされています。また一般的な食事に比べ、抗炎症性高脂血症心血管疾患の予防に有効であるとされています。また食物繊維が豊富な食事法であることから、糖尿病の予防に有効であると考えられています。ガンに対する食事としては賛否両論あるところです。

 

マクロビオティックの献立例

 

麩のチャンプルー

車麩2個、にら1/2束、人参1/3本、もやし1/3袋、塩、醤油、ごま油

①野菜は良く洗い皮は剥かず、人参は拍子木切り、にらは5cm程度に切る。

②車麩は水に浸けておき、戻ったら水をきって1/4に切る。

③フライパンに油を熱し、人参、もやしを入れて、しんなりしてきたら、にらと車麩を入れる。

④塩、醤油で味付けをして、最後に再度ごま油を少し入れて出来上がり!

 

 

 

 

トップへ戻る

 

ホームへ戻る

 

<参考>

ウィキペディア  マクロビオティック https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%93%E3%82%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF

 

はじめてのおいしいマクロビオティックごはん220 石澤清美 野口節子 主婦の友社