骨粗鬆症の予防ための食事

 

現在治療中、通院中の方は、必ず主治医のアドバイスに従ってください。

 

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症は、骨の密度が減り、スカスカな脆い骨になる症状のことをいいます。骨は本来堅くて強いのですが、なんらかの原因により骨密度が低くなり、骨折のリスクが増える症状です。骨粗鬆症は色々な原因があり、加齢や食事を含む生活習慣もその一つですが、遺伝や他の病気に起因するものもあります。

骨は新しく作る新生と今まである骨を壊す破壊を繰り返しながら、微妙なバランスによって健康な骨が保たれています。40歳を過ぎたころから、新生よりも破壊のスピードが上回り、特に女性は閉経の頃からそのスピードが急激に上がります。そして骨が脆くなりやすくなるのです。

また日本人の平均的なカルシウム摂取量は、推奨量には足りていない状況が続いています。放っておくと減ってしまう骨に、骨の材料のカルシウムが足りないと、骨密度減少にさらに追い打ちをかけてしまいます

骨密度が下がっても症状は特にありませんので、気が付かないうちに進んでしまう場合も多いのです。健康診断や何か機会があれば、ご自身の骨密度を測ることでリスクの度合いを知り、骨密度が低めの場合は早めに対処する方が良いでしょう

骨粗鬆症予防の3原則

食事、運動、日光浴

骨粗鬆症予防にはこの3つをとり入れるのが基本です。

 

骨粗鬆症のリスクが多い人の傾向

無理なダイエット経験者、運動不足、カルシウムを含む製品をあまり食べない、加工食品を食べる機会が多い、日光に当たる時間が少ない、塩分が強いものや甘いものを好む、アルコールを多飲する、コーヒーを多飲するなどは骨粗鬆症のリスクを上げます。

 

骨粗鬆症予防のための食事

①食事は欠食はせず、なるべく3食バランス良く食べましょう

食事をしっかり食べていない人は、比較的骨を強くする成分を含む食品が十分に取れていない人が多いのです。3食の中になるべく色々な具材を入れましょう。

また、無理なダイエットはやめましょう

 

②カルシウムを含むものを必要量とりましょう

カルシウムは成人で一日男性750㎎、女性650㎎摂ることを推奨されています。

これを食品で置き換えると

(牛乳・乳製品あり)牛乳コップ1杯210㎖(231㎎)、ししゃも2尾(175㎎)、がんもどき1個(216㎎)、小松菜100g(170㎎)  合計792㎎

(牛乳・乳製品なし)生揚げ100g(240㎎)、わかさぎ2尾(225㎎)、高野豆腐1個(126㎎)、干しサクラエビ10g(200㎎)   合計791㎎

カルシウムを多く含む食品
骨ごと食べられる小魚類(シシャモ、ワカサギ、いわし、ちりめんじゃこ、サクラエビなど)、乳製品、大豆製品、小松菜、春菊、青梗菜、切り干し大根、ひじき、ごま、アーモンドなど

  

③ビタミンDを含むものをとりましょう

ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を助けます。また骨を作る時にも関与し、カルシウムはビタミンDが一緒にないと骨になることが出来ないのです。

また日光に適度に当たることで、ビタミンDが体内でも合成されます。
必要ビタミンDが得られる日光浴の時間は、関東や関西エリアでは、夏場は5分程度、冬場は30分程度です。(冬場は東北・北海道ではもっと長く、沖縄ではもっと短くなります。)

多く含まれる食品:あん肝、干し椎茸、きくらげ、かわはぎ、鮭など

④ビタミンKを含むものをとりましょう

ビタミンKは、骨にカルシウムを取り込む際に必要な「オステカカルシン」というタンパク質を活性化させます。ビタミンKは骨をつくる骨芽細胞に作用して石灰化を促進し、骨を壊す破骨細胞の働きを抑制して骨の破壊を抑える働きがあります。

ビタミンKを含む食品:納豆、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草、ひじき、緑茶など

⑤マグネシウムを含む食品をとりましょう

骨に必要なカルシウムとマグネシウムは密接な関係があります。カルシウム2:マグネシウム1という割合が大切です。マグネシウムは骨に弾力を持たせ、カルシウムと共に骨を支える存在ですが、それと同時にカルシウムが骨に行き渡るように手助けをしています。

マグネシウムを多く含む食品:ひじき、ほうれん草、大豆製品、まぐろ、かつお、アーモンド、玄米など

⑥タンパク質は必要量、そして大豆製品をとりましょう

タンパク質は適量であれば、骨の形成のためにも必要です。ただ、摂りすぎてしまうとカルシウムを体外に出してしまう原因となりますので、注意しましょう。

大豆はカルシウムも多く含まれますが、その他に「イソフラボン」という、女性ホルモンに似た働きをする成分が入っています。その成分はカルシウムの流出を抑える働きがあると言われています。

 

⑦リンを含む食品は減らしましょう

リンはカルシウムとともに骨を支える1つのミネラルなのですが、近年では摂りすぎが問題になっています。リンとカルシウムの割合は1:1が良いといわれています。リンを多く摂りすぎると、腸でのカルシウムの吸収を邪魔します。さらに腎臓にカルシウムが溜まりやすくなり、腎臓の働きが悪くなる原因にもなります。

自然の食品の肉や魚などにも有機リンは含まれていますが、その吸収率は10~40%といわれています。それに対し、加工品に添加される無機リン(多くの食品添加物の原料)の吸収率は90%以上といわれています。自然の食品からのリンの摂取は避けられないので、添加物として体に入るリンを減らしましょう。

リンを多く含む食品(加工食品):ハム・ソーセージ、かまぼこ、カップラーメンなどのインスタント食品、プロセスチーズ、ジュース類、生菓子類、中華麺等

※食品添加物のリン酸塩は、発色剤、防腐剤、乳化剤、保湿剤、食感の強制など色々な分野で使われています。ラベルに表示されているのは、リン酸とは表示はなくてもpH調整剤、イーストフード、乳化剤、膨張剤などはリン酸塩を使ったものが多いのです。また中華麺に含まれるかんすいもリンを多く含みますので注意が必要です。

 

⑧塩分は摂りすぎないようにしましょう

日本人の多くは、塩分を摂りすぎている傾向があります。塩分の摂りすぎは骨のカルシウムを外に流出しやすくします。減塩を心がけましょう。

 

⑨砂糖や糖分は摂りすぎないようにしましょう

砂糖などの糖分も骨のカルシウムを体外に出しやすくします。甘いものの摂りすぎに気をつけましょう。

 

⑩コーヒーやアルコールは飲みすぎないようにしましょう

コーヒーなどカフェインを多く含むものは、カルシウムを体外に出してしまうので多く飲みすぎないようにしましょう

またアルコールはビタミンDの働きを低下させ、カルシウムの吸収を抑制します。

 

骨と運動

骨を強くするためには運動は不可欠です。なるべく骨に刺激が入るように、ウォーキングや軽いジョギングなどがお勧めです。歩くことが困難な場合は、かかと落としを行うのも効果的です。できれば、筋トレも合わせて行うのが効果的です。

 

いつまでも元気に活動するためにも、骨の健康を守りましょう。

 

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<参考>

臨床栄養ディクショナリー  山本みどり 佐々木公子  大池教子  メディカ出版

新臨床栄養学 栄養ケアマネジメント  本田佳子     医歯薬出版