脂肪肝の人の食事

以前は脂肪肝はお酒を多く飲む人に多かったのですが、最近ではお酒を飲まない人の脂肪肝が増えています。日本人の成人の1/3が脂肪肝になっているという統計もあります。

健康診断で脂肪肝の疑いがあると言われた場合は、受診し必要であれば治療しましょう。現在、治療中の方は、食事療法については必ず医師に確認しましょう。

 

脂肪肝とは

脂肪肝とは、肝臓の細胞内に脂肪が5~10%以上ある状態をいいます。いわゆるフォアグラ状態です。健診の時の血液検査にある肝機能の値でALTの数値が20IU/ℓ以上の時は、脂肪肝になっている可能性があります。

また、体重が増えた人急に大幅に体重を減らした人も脂肪肝になっている可能性があります。

脂肪肝になっても、あまりはっきりした症状はありません。疲れやすいとか、頭がすっきりしないとかという症状がでてくるかもしれません。自覚症状があまりないので、放置してしまう場合が多いのですが、そのままにしておくと肝硬変に移行することもあります。

それに、肝臓に脂肪分が多いと肝臓の機能の働きを低下させてしまいます。また、代謝が低下して色々な生活習慣病の温床となりますので、放っておいてはいけません。

 

脂肪肝の種類

アルコール性脂肪肝:アルコールの多飲が原因の脂肪肝

非アルコール性脂肪肝(NASH):アルコール以外が原因の脂肪肝

 アルコール以外の原因に糖質の摂りすぎ(ご飯や麺、パン、菓子、ジュースなど)、や果物の摂りすぎ、運動不足などがあります。

 

脂肪肝の検査

超音波検査(エコー検査)

・血液検査(AST,ALT,血中脂質)

・肝生検:肝臓の組織をとって調べる方法

 

脂肪肝の治療

脂肪肝の治療は基本的に食事と運動の両方を行うことで効果が出やすいのです。

あとは、体重のコントロールです。

 

体重のコントロール

体重を把握することも大切です。ご自身の体重をできれば毎日、少なくとも週に2~3回は確認しましょう。今現在、BMIが25以上の人は、少しずつ減らすようにしていきましょう。短期間に急激に減らすと、脂肪肝が悪化する可能性があります。

 

食事療法

①カロリーの摂りすぎは、肝臓に脂肪を溜める原因になります

適正な摂取カロリーは、標準体重(理想体重)×25~30kcal

BMIが25以上の場合は、標準体重(理想体重)×20~25kcalを目安にし、体重をみながら調整しましょう。

 

②タンパク質は適量とりましょう。

動物性の肉や乳類は、なるべく脂が少ないものにしましょう。霜降り肉やバラ肉、ひき肉料理は避けましょう。ひき肉は赤身のひき肉であれば大丈夫です。肉よりも魚の方が、オメガ3系の油を摂ることができるのでお勧めです。また、豆腐・納豆などの大豆製品も積極的にとりいれましょう。目安は毎食のおかずにタンパク源(魚・肉・卵・豆腐など大豆製品)を適量入れることです。

 

③糖質は摂りすぎないようにしましょう。

糖質の摂りすぎは、肝臓に脂肪を溜める原因になります。炭水化物が多い方、甘いものが好きな方、果物が好きな人は、脂肪肝になるリスクが高くなります。適量にとどめましょう。

ビタミンB群をしっかり摂った方が良いので、ご飯(米)などの穀類は、なるべく精製されていない玄米などにすることがお勧めです。

果物に含まれる果糖は肝臓に脂肪を溜めやすいため、食べすぎは禁物です。果物はりんごや柿は1/2個程度、ミカンは1個程度にとどめましょう。果物は夜に食べると脂肪肝になりやすいので、朝食時に適量を食べましょう。

菓子類やジュース(フルーツジュースも含む)も極力減らしましょう。

 

④油は適量範囲に

揚げ物の油や動物性の脂などは、なるべく減らしましょう。

炒め物やドレッシングに使うオリーブオイルや、加熱せずに使うエゴマ油などは、適度にとりいれましょう。

 

④野菜を多く食べましょう

肝臓を守るために、抗酸化作用のあるビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、ポリフェノールが必要です。それに食物繊維も血中脂肪の上昇を予防します。

一日あたり350gが推奨されています。朝・昼・夕毎食に野菜をとり入れるようにしましょう。

キノコ類や海藻も食物繊維を多く含んでいます。

⑤鉄分は適量範囲で状況によっては控えます

多すぎる鉄分は脂肪肝の症状を悪化させる場合があります。医師の指示に従いましょう。

 

⑥食後高血糖を防ぐ

食後血糖が急上昇すると、糖尿病のリスクが上がるだけでなく、脂肪肝になりやすくなります。食べる順番は、野菜もしくはタンパク質のおかずから食べて、糖質のものはなるべく最後にしましょう。よく噛んでゆっくり食べるように心がけましょう。

 

⑦夜9時以降には、なるべくカロリーのあるものは、摂らないようにしましょう

残業などで夕食がどうしても遅くなってしまう場合には、夕食を2回に分けるという方法があります。夕方にご飯などの主食を食べて、帰宅後は野菜中心の軽めのおかずのみにしましょう。

夕食後のデザートはやめましょう

夜食は厳禁です。

 

⑧食事の時間は、なるべく一定にしましょう。

 

 

お酒について

飲酒は脂肪肝の脂肪を減らすためには、極力減らしましょう

できれば、飲まないのが一番良いのです。

 

運動

定期的に体を動かすことをお勧めします。数回程度では効果が出にくいので、習慣化するのがお勧めです。

筋トレを週に2~3回

・有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギングなど)を週に5日以上

※状況によっては、運動を勧めない場合もあります。医師に確認しましょう。

 

脂肪肝を改善する食事例

朝食:玄米ご飯、目玉焼き、ブロッコリーサラダ、ヨーグルト

昼食:雑穀ごはん、野菜たっぷりスープ、鶏肉レモンソテーとトマト

夕食:玄米ご飯、豆腐とわかめの味噌汁、鮭のてりやき、大根おろし、野菜炒め

  

脂肪肝を改善のためのお勧めレシピ

サーモンとアボカドのサラダ

材料2人分

スモークサーモン60g、アボカド1個、グリーンリーフ20g、パプリカ黄1/2個、玉ねぎ1/2個、ブロッコリースプラウト20gアーモンド6粒、レモン1/2個、オリーブオイル

① アボカドは皮と種を取り除き、角切りにする。

② パプリカ、玉ねぎはスライス、ブロッコリースプラウトはざく切り、グリーンリーフは一口大にちぎる。

③ スモークサーモンは食べやすい大きさに切り、アーモンドは刻む。

④ アボカド、パプリカ、玉ねぎ、ブロッコリースプラウト、グリーンリーフを混ぜ合わせ、スモークサーモンをざっくり合わせる。

⑤ ④にレモン汁とオリーブオイルをかけて、最後に刻んだアーモンドを振りかけてスライスしたレモンを乗せる。

 

 

 

 

イメージ

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<参考>

臨床栄養ディクショナリー  山本みどり 佐々木公子  大池教子  メディカ出版

新臨床栄養学 栄養ケアマネジメント   本田佳子  医歯薬出版